戦国時代の遺構間近に 静岡市歴史博物館 23日にプレオープン
徳川家康や今川家など駿河の歴史や文化を伝える静岡市葵区の市歴史博物館が23日にプレオープンするのを前に、同市は21日、報道機関に施設の一部を公開した。建設工事中に発掘された戦国時代末期の道と石垣の遺構をそのまま館内に取り込み、展示物の目玉の一つにしつらえた。無料で鑑賞できる。

道と石垣の遺構は長さ約30メートル、幅約7メートル。1580年代後半ごろのものとされ、駿府城のお堀近くにあることから、道の両側には城主に仕える武士の屋敷が建っていたと考えられる。砂利と土で固められた道の幅は1間半(約2・7メートル)。30メートルにわたって発掘するケースはまれとされ、露出状態の展示も全国的に珍しいという。このほか、昭和初期の市内全域を描いた絵地図なども展示した。
同博物館は4階建てで、1階には遺構や市民の活動スペース、2階には徳川家康と今川家の関連展示、3階には家康時代以降に静岡が発展した経過が分かる史料を取り上げる。全館オープンは来年1月に予定し、プレオープンで公開されるのは1階部分のみ。プレオープン期間中、2階以上を見学できるバックヤードツアーなども開催予定という。
中村羊一郎初代館長は県内に歴史系の博物館がないことを挙げ、「単に歴史への興味を満たすだけでなく、文化、観光、教育の拠点になり得る。市民だけでなく、県民全体にとって意味のある施設」と話した。