記者コラム「清流」 まだまだ見えない

 カメラマンはスポーツ取材において、ファインダーを通してしか選手と向き合うことができない。目の前で起こるプレーや喜怒哀楽は、被写体を追い続ければ撮ることができるが、内面に迫るような写真は、深く長く被写体に迫ることができなければ撮れないと感じている。
 サッカーJ1清水エスパルスの取材で、30年以上名古屋グランパスの撮影を続けている、母親ぐらいの女性カメラマンと話をする機会があった。サッカーにひかれたきっかけは、学生サッカーの撮影で懸命にプレーする姿に心を動かされたことだという。
 クラブとともに歩み、優しいまなざしで選手にカメラを向ける背中は格好いい。カメラマンの40代はペーペー。そんな自分にはまだまだ見えない瞬間を切り取っている。
 (浜松総局・二神亨)

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