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田代ダム取水案、JR「渇水時も対応」 県有識者会議の専門部会

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題の対策を議論する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会が20日、県庁で開かれ、JR東海は4月の同部会でトンネル湧水の県外流出対策として示した東京電力田代ダムの取水抑制案の詳細を説明した。渇水時でも、県外流出したのと同じ水量を大井川に還元できるとする試算を公表した一方、県外流出量などが想定を上回り、必要な水量を確保できなくなる可能性にも言及した。
 ただ、試算では東電がダムの配管の凍結を防ぐために冬場に最低限必要とする取水量を考慮していない。森下祐一部会長(静岡大客員教授)は「東電と協議し、より精度の高いデータを示すべきだ」と指摘し、試算のやり直しを求めた。
 試算は、JR東海が月1回計測している田代ダム上流地点での大井川河川流量の実測値77回分を用いた。河川流量が最少だった3月13日の数値(毎秒1・5トン)に対し、工事に伴う河川流量の減少を考慮した上で県外流出量の予測最大値を当てはめても、還元量を確保できると説明した。
 JRはこの試算とは別に、突発湧水の発生などにより、県外流出量や河川流量の減少量が想定を上回った場合、必要な還元量を確保できなくなる可能性があると説明した。対策として、冬場の渇水期をできる限り避けるなどトンネル工事のスケジュールをあらかじめ調整したり、施工後も工事を一時中断し、スケジュールを再検討したりするとした。
 田代ダムの取水抑制案は、トンネル掘削時に山梨県に流出する湧水量と同じ量の取水を抑制し、流出量と相殺する案。前回の部会では、渇水時にも対応可能かなど案の実効性に関する質問が委員から相次いだ。2021年12月に国土交通省専門家会議が取りまとめた中間報告は、JR東海に対して「トンネル湧水の全量戻し」の具体策を県などと協議するよう求めていた。
 

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