静岡県副知事に就任した 森貴志(もりたかし)さん【時の人】

 静岡県政史上最長の8年在任した難波喬司氏が退任後、1人体制になった副知事に7月2日付で就任した。県の施策の土台となる新しい総合計画が2021年度から始まったとし、「東京一極集中から地方への流れの中、県が先進になっていくための総合計画を着実に進めたい」と意気込む。

森貴志氏
森貴志氏

 1983年県庁入庁。知事公室長、政策企画部長などを歴任し、2017年3月に定年退職後は県医師会事務局長を今年3月まで務めた。県では国際関係の部署が長く、国際室長時代に浜松市のブラジル総領事館誘致に尽力した。
 医務課長時代、伊豆地域の病院破綻を担当し、行き場のない入院患者の受け入れ先探しに奔走した。その時見たのは患者のために無償でも病院に残った医療従事者の姿。「行政が住民を支えているとかおこがましい。熱海土石流災害の復旧作業もそうだが、目立たないけど頑張っている人たちがいる。そういう人たちが報われるような仕組みを作れれば」
 「自分は凡庸」と称する。政策は為政者である知事が進め、その目的に向け職員をしっかり働けるようにするのが理想とし、「いてもいなくてもいい触媒のような存在になれれば」と目指す副知事像も謙虚だ。
 ただ、凡という字は部首をつけると途端に印象が変わる。「広く行き渡る意味の汎(はん)になれば、全体を覆う帆にもなる。自分が輝くことはできないかもしれないが、自分以外の誰かが成果を出せるようになれば、存在価値になる」。静かな語り口の中に熱いものを秘める。静岡市駿河区出身。65歳。

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