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京アニ放火事件から3年 元社員・大村さんゆかりの松崎 有志ら、絵本題材に作品展

 36人が犠牲となった京都アニメーション放火殺人事件は18日、発生から3年を迎える。事件に巻き込まれた菊川市出身の元社員大村勇貴さん=当時(23)=が学生時代に作品制作のために訪れていた松崎町では、住民の有志が16日から、大村さんの絵本「うーちゃんのまつざき」を題材に作品展を開く。絵本が地域の懸け橋となり、その魅力を伝える活動が広がりを見せている。

作品展の準備をする青森千枝美代表。絵本の魅力の広がりに期待する=15日午前、松崎町の「であい村蔵ら」
作品展の準備をする青森千枝美代表。絵本の魅力の広がりに期待する=15日午前、松崎町の「であい村蔵ら」

 企画するのは地元食材を使ったランチなどを提供する企業組合「であい村蔵ら」。大村さんが絵本を手掛けた常葉大在学時、仲間と同町を訪れた際に決まって昼食を取った店。青森千枝美代表(87)は昨年5月、大村さんの両親と知り合い、「松崎をうーちゃんの町にしてほしい」との言葉に寄り添う形で開催を決意した。
 絵本は主人公の幼児うーちゃんが同町を訪れ、動物や自然と触れ合いながら家族と再会する物語。地域に残る棚田や伝統の「なまこ壁」が柔らかなタッチで描かれている。作品展は作中に登場するシーンを押し絵や小石に貼り絵を施す「いづこいし」など手作りで表現した。原画も並び、店内は穏やかで優しい雰囲気に包まれている。
 青森代表は絵本について「松崎の良さが丁寧に描かれ、本当にありがたい作品。絵本の持つ優しさが伝わり、この先もずっと魅力が語られるきっかけになれば」と作品展に思いを込める。
 8月24日まで。開場は午前10時~午後4時(木、金曜定休)。
 (松崎支局・土屋祐人)

 ■大村さんの両親 作品広がり喜ぶ
 大村勇貴さんの絵本を起点に、縁ある人々が新しい作品を生み出していくことに、菊川市の大村さんの両親は「いろいろな形で伝えてもらえるのはありがたい」と話す。
 両親は先日、であい村蔵らのメンバーに絵本の原画を貸し出すため松崎町を訪ねた。キャラクターをあしらった「いづこいし」を気に入り、持ち帰って自宅に飾っているという。「うーちゃんがあちこちに旅立ってくれたら」と、多くの人の手に渡ることを楽しみにしている。

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