苦境の中小支援に全力 合併3年、さらに地域密着 田形和幸/しずおか焼津信金理事長【聞きたい】

 旧しずおか、旧焼津両信用金庫が合併して16日で3年を迎え、本年度にスタートした中期経営計画で地域により密着した金融機関を目指す。原油・原材料価格の高騰や急激な円安などで足元の経済情勢が不透明感を増す中、中小企業支援に力を尽くす。

田形和幸理事長
田形和幸理事長

 ―合併から3年間の成果と課題は。
 「人事制度や給与体系を刷新し、企業風土の異なる両信金の職員の融和に心を砕いた。静岡、焼津、藤枝の3拠点に相談プラザを設置したほか、中部横断自動車道が静岡と山梨間で全線開通したのを機に山梨、長野両県の3信金と連携協定を結び、取引先の経営改善や販路拡大の支援も強化した。ただ新型コロナウイルス感染拡大など想定外の事態が相次いだ。もっとスピード感のある対応が必要だった」
 ―原材料価格高騰や円安で苦境に立つ中小企業をどう支えるか。
 「営業店に指示を出し、取引先にどんな影響が出ているかを確認させている。仕入れ価格の上昇分を製品価格に転嫁できればいいが、取引先は下請け企業も多く、そう簡単ではないだろう。だからこそ今、地域に根差した信金の支援が必要とされている」
 ―中期経営計画で掲げている理念は。
 「地域に寄り添い、皆さまに最も頼っていただける信金でありたい。そのためには中小企業診断士の資格を持つ職員の育成などで、信金自身がレベルアップを図らなければならない。努力を積み重ね、計画最終年度の2024年度に純利益25億円を目指す。職員への利益還元も行い、3年で給与を1割増やす。今後も地域とともに成長したい」
 ―さらなる合併の考えはあるか。
 「仮に他信金から構想を持ち掛けられれば拒まないが、現時点で新たに合併する考えは全くない。合併はあくまで、地域や顧客に有益であることが大前提だ」
 (聞き手=経済部・薮崎拓也)

 たがた・かずゆき 1979年静岡信用金庫入庫。理事、常務理事を経て、2009年しずおか信金理事長。焼津信金と合併した19年7月から現職。静岡市出身。67歳。

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