顧客目線でDXを推進、グループ結束変化に対応 丸山晃司/遠州鉄道社長【聞きたい】 

 遠州鉄道の社長に6月29日付で就任した。デジタル化や物価高など変化が激しい社会環境の中、電車やバス、百貨店、スーパー、観光開発、自動車販売などグループ14社をけん引。地域に必要とされる企業集団を目指す。

丸山晃司社長
丸山晃司社長

 ―グループ運営の課題をどう考えるか。
 「顧客目線に立ってデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める必要がある。社内的には定型業務の効率化やペーパーレス化を進めてきた。今後はEC(電子商取引)サイトの進化や、SNSを利用したマンション管理システム提案などの対応が欠かせない。新型コロナ禍では、社員の成長や勉強の機会をつくる人材交流に課題があった。グループ全員がオンラインなどで学べる機会を設けたい」
 ―電気代の高騰など社会変化への対応は。
 「物価高の影響は事業によって温度差がある。各拠点の営業時間の見直しなどを事業ごとに継続する。外国人観光客の入国が再開したが、現状では利用はほとんどない。情報収集をしながら臨機応変に対応する。舘山寺のホテル九重の来夏までの解体作業は計画通りに進んでいる。跡地利用はどういう機能を持つ施設が良いか、議論を深めながら決める」
 ―5月に浜松市教委と協定を結び、小中学校の教員の業務量調査や改善提案を始めた狙いは。
 「コロナ禍で経営が厳しい時、遠鉄システムサービスが国のGIGA(ギガ)スクール構想に沿い、端末納品やICT支援員派遣で売り上げを伸ばした。学校関係者とのつながりが深まる中で、教員の負担軽減の手伝いができないかと考え始めた。モデルとして実績を挙げてノウハウを蓄積し、全国展開できる事業に育てたい」
 ―浜松まちなかにぎわい協議会長にも就いた。中心街再生策は。
 「人の動きが止まると、経済が止まることがコロナ禍で実証された。次世代に街を引き継ぐために地域と協力しながらにぎわいを創出する。来年の大河ドラマの放送や2024年の浜名湖花博20周年記念事業を追い風にできるよう取り組む」
 (聞き手=浜松総局・白本俊樹)

 まるやま・こうじ 1990年入社。総務部長、遠鉄タクシー社長を経て20年に遠州鉄道常務、21年に専務。浜松市南区出身。55歳。

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