ICT教育 水準向上へ外部と研究会 静岡聖光学院中・高

 静岡市駿河区の静岡聖光学院中・高が県全体のICT(情報通信技術)を活用した教育の水準を高めようと、外部の教育関係者らとノウハウや考えを共有する取り組みを進めている。同校でこのほど開かれた研究会では、他校の教員や行政職員らが授業見学や討論などを通じてICTを取り入れる意義や効果を共有し、自らの教育活動を見つめ直した。

生徒がICTを使って能動的に学ぶ授業を見学する教育関係者ら=6月下旬、静岡市駿河区の静岡聖光学院中・高
生徒がICTを使って能動的に学ぶ授業を見学する教育関係者ら=6月下旬、静岡市駿河区の静岡聖光学院中・高


 「学びに天井を作らないことを大事にしている。だからこそデジタルが必要」。同校の田中潤校長補佐はICTの活用目的の一つをこう語る。不確実な社会でも生徒が生き方を創造できるように、主体的な学びを進める道具として積極的に取り入れている。生徒一人1台のタブレット端末や40台のノート型パソコン、全教室にプロジェクターやWi-Fiを完備する。
 国語の授業ではプロジェクターを活用。物語の登場人物の心情変化を表した生徒全員の絵を共有し、生徒が意見を発表し合って考えを深めた。音楽はタブレット端末でアプリを利用して作曲に挑戦。中1の渡辺湊成さん(12)は「今までは音楽に興味がなかったが、自分好みの曲を作るのは面白い」と話した。
 静岡市立高から参加した山田義勝教諭(46)は「iPadが道具の一つとして授業に自然に組み込まれている」と実感。木村才一教諭(47)は「社会で求められているものを把握し、対応できるように考え方を変えないといけない」と身を引き締めた。
 学校のデジタル化に向けては、保護者との合意形成も課題の一つとなる。田中校長補佐は生き生きと学ぶ生徒の姿を見せる重要性を挙げ「社会に出る前にたくさん失敗し、一緒に成長していけるのがいい」と述べた。
 (社会部・佐野由香利)

 

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