ゲーム障害 子どもどう守る? 保護者対処に苦慮、相談増加の一途

 世界保健機関(WHO)が、オンラインゲームなどのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を国際疾病に正式認定して3年余り。社会的な関心の高まりとともに、県内関係機関への問い合わせや相談がここ数年、増加の一途をたどる。一方、新たに認定された依存症のため、相談先や対処法が分からずに苦慮する保護者も多い。県などは周知や対策を進めている。

県のセミナーやパンフレット作成にも協力する公認心理師の松井一裕さん=6月上旬、富士市の聖明病院
県のセミナーやパンフレット作成にも協力する公認心理師の松井一裕さん=6月上旬、富士市の聖明病院

 「昼夜逆転でゲームばかり。健康と社会から離れていくことが心配」。5月、ゲーム依存当事者と保護者のために県が浜松市で開いたセミナー。市内の60代女性が胸の内を明かした。引きこもり生活が続く20代後半の息子は「注意をしても、反応がない」という。
 高校生の息子を持つ50代女性も「朝起きられずに学校を休むようになり、成績もどんどん落ちた。どこに相談していいか分からなかった」とつぶやいた。
 ゲーム障害は自分が制御できず、学校や仕事などの日常生活よりもゲームを優先するなどの特徴がある。一定期間以上続くと、アルコールやギャンブルと同様に治療が必要と判断される。スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、ここ数年、世界中で社会問題化している。
 ゲーム障害に対応する県内の複数の医療機関によると、この数年で子供の依存症を疑う保護者からの相談が急増している。聖明病院(富士市)の担当者は「新型コロナの影響で在宅時間が増えたことも一因」と指摘。一次相談を受ける県と浜松、静岡両政令市の精神保健福祉センターにも問い合わせが相次ぎ、対応を進めている。
 県は19年度から、ゲーム障害の対策を本格化させた。保護者や当事者向けのセミナーを定期的に開催。医療機関の協力を受け、小中学生がネットと離れた環境で、ネットとの付き合い方を見直すキャンプ事業を実施したり、パンフレットを制作したりしている。
 県障害福祉課の担当者は「どう対応したらいいのか、どこに相談したらいいかさえも分からない保護者が多いのが実情」と受け止める。その上で「疾病と判断されるほど深刻化する前に、早期に相談してほしい」と話す。
 

「親子でリテラシー向上を」 公認心理師 松井一裕さんに聞く

 ゲーム障害を巡っては医療機関など「受け皿」不足も課題に挙がる。県などによると、県内の専門医療機関は数カ所にとどまる。17歳以上のゲーム依存に対応し、県のセミナーにも協力する聖明病院(富士市)の公認心理師松井一裕さん(36)に実情を聞いた。
 ―どのような兆候が見られるのか。
 「朝から夜遅くまでゲームをしている、食事に呼んでも部屋から出てこない、注意すると怒る、学校を休む日が増えた―などは疑うべきだ。ほかの依存症と共通するが、本人が問題を感じても認めたがらない傾向にある。ゲームに基づいた問題が障害を引き起こすことは十分認知されておらず、低年齢化も危惧される。家族がサインに気付き、治療や改善に結びつけてほしい」
 ―健康面などへの影響は。
 「食生活の乱れや運動不足による体力の低下、成長の妨げが考えられる。うつ病やイライラしやすくなることも研究で明らかになった。成績低下や欠席増加で不登校につながることもある。ゲームを取り上げた保護者への暴言や暴力、課金による金銭の浪費も問題」
 ―対策はあるのか。
 「依存などの発覚後にルールを作る保護者が多いが、それでは遅い。最初が大事。ルールも押しつけるのでなく、親子で一緒に決めるべきだ。既に兆候がある場合、ゲームを一方的に遮断するより上限を決め、うまく付き合うことが必要。親子でネットリテラシーを向上させることが深刻化の予防につながる」


 

あなたの静岡新聞 アプリ