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カツオ窃盗「日常化」 静岡地裁公判 元漁協職員ら証言

 焼津市の水産加工会社が焼津漁港に水揚げしたカツオが流通段階で不正に抜き取られた事件で、窃盗罪に問われた焼津漁業協同組合の元職員の被告(40)=同市東小川2丁目=ら5人の第2回公判が6日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。被告人質問で被告は、カツオの窃盗行為について「焼津漁協に入った22年前には(既に)あった」と述べた。カツオの運搬役だった2被告も「周りがやっていて日常化していた」と口をそろえ、関係者の間で規範意識が鈍麻していた様子がうかがえた。
 6月の初公判で「共謀したことはない」と起訴内容を否認した焼津市の水産加工会社元社長の被告(61)=同市大村新田=は、この日の被告人質問でも「(窃盗を)直接依頼したことはない」と主張した。しかし漁協元職員の被告は、水揚げ全般を取り仕切る外港売り場の係長となった2018年4月中旬に「元社長の被告から『魚何とかなんねーか』と誘われた。市場の職員なら無計量の魚を用立てることだと誰でも分かる」と指摘。水産加工会社の元役員の被告(48)=藤枝市藤枝4丁目=も、元社長の被告からの指示で漁協元職員の被告と決めた具体的な手口や搬出先の倉庫、報酬を報告した際に「(元社長の被告に)驚いた様子はなかった」と明らかにした。
 カツオの窃盗行為について、漁協元職員の被告は「うわさは常にあった。外港売り場に異動すると皆、金遣いが荒くなったり、良い車に乗ったりする」と説明。自身も「悪いことだと意識はあったが、ルーティンになっていた」と述べた。仮に漁協に荷抜き行為を報告したとしても隠蔽(いんぺい)されたとの認識も示した。
 無計量のカツオを保管先の倉庫に運搬していたとされる焼津市の運送会社の元運転手の被告(47)=同市本中根=と別の被告(43)=同市田尻北=は、周囲もやっていたとした上で「小遣いが欲しいという甘い気持ちがあった」と振り返った。

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