テーマ : 小山町

参院選「防衛力強化」議論 基地周辺住民注視 浜松/御殿場/小山

 ロシアによるウクライナ軍事侵攻で活発化する日本の防衛力強化の議論を、県内の自衛隊基地周辺住民が注視している。「生活環境への影響はあるのか」「国際協調へ、かじ取りを担ってほしい」。混迷する世界情勢に不安を抱きながら、7月10日の参院選投開票に向け、政党や候補者の論戦に耳を傾ける。

住宅街の上空を飛行する航空自衛隊の練習機=6月28日、浜松市中区
住宅街の上空を飛行する航空自衛隊の練習機=6月28日、浜松市中区


 ■生活影響や国際協調かじ取り
 パイロットの教育を担う航空自衛隊浜松基地(浜松市西区)。長さ約2550メートルの滑走路では連日、ジェット練習機T-4などがごう音をとどろかせて離着陸訓練を繰り返す。すぐ近くには住宅や商業施設、工場、倉庫などが立ち並ぶ。
 基地の運用方針については市内の24自治会でつくる基地周辺対策協議会が説明を受け、地域の意見や要望を基地側に伝えている。住宅や学校の防音工事、周辺道路の改良、基地見学会などを通じて、融和が図られてきた。
 協議会に参加する自治会長の男性(76)はブルーインパルスや救難ヘリの墜落事故に触れ、「基地と地域の信頼関係を保つため、透明性の高い安全第一の運用を求めたい」と話す。
 空自は敵機の探知や追跡を担う空中警戒管制機(AWACS)の配備など浜松基地の機能を拡充してきた。今後の防衛力増強の内容によっては、さらに変容する可能性もある。
 戦時中の浜松の歴史に詳しい郷土史家竹内康人さん(65)=同市東区=は自衛隊イラク派遣などを踏まえ、「派兵拠点になり、憲法に反して戦争に加担することも考えられる」と指摘する。その上で「議論すべきは軍備拡張ではない。非軍事の国際貢献で人間の安全保障をどう確立するかだ」と話す。
 一方、御殿場市と小山町の陸上自衛隊の4駐屯地には6千人以上が勤務する。国道、県道を日常的に自衛隊車両が行き交い、隊舎以外の一般住宅で生活している隊員も多い。
 陸自富士学校(小山町)の協力会員安藤強さん(74)は「親しい隊員が前線に赴く可能性を考えると不安だ。できれば行ってほしくないね」と胸中を明かす。ウクライナ情勢を受け、「日本の反撃能力保有は有効な抑止力になるのでは」と理解を示す一方、戦争に至らないために「強権的な指導者のいる国と多国間で向き合えるよう、まずは協力態勢の強化を」と注文を付ける。

いい茶0

小山町の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞