熱海土石流 回答期限、前所有者反応なし 残存盛り土に市措置命令

 熱海市伊豆山の大規模土石流の起点で崩れずに残っている盛り土を巡り、市が前土地所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)に出した措置命令について、市は30日、同社から回答期限の同日までに安全対策の計画書が提出されなかったことを明らかにした。県盛り土規制条例が施行される7月1日から指導権限は市から県に移るが、斉藤栄市長は30日の定例記者会見で、引き続き県と連携して対応していくと強調した。

土石流の起点で不安定な状態のまま残っている盛り土=6月3日、熱海市伊豆山
土石流の起点で不安定な状態のまま残っている盛り土=6月3日、熱海市伊豆山

 土石流の起点の崩落現場付近には、推定2万立方メートルの土砂が不安定な状態で残る。市は今年3月、大雨で崩れる可能性を指摘した県の調査結果を踏まえ、同社に対策を求め行政指導を行った。しかし回答がなかったため、5月31日により強制力のある措置命令を発出し、安全対策工事の計画を提出するよう命じていた。
 同社の代表(72)はこれまでの取材や市議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問で、盛り土造成への関与を否定し「安全対策は現所有者が行うべきだ」などと主張していた。
 県は今後、同社に対する弁明の機会付与などの手続きに入り、回答次第で新条例に基づく措置命令を発出する。市と同様、崩落防止などの安全対策の実施計画を提出するよう求め、応じなければ行政代執行を行う可能性がある。
 斉藤市長は「県に権限が移るとはいえ、地元として現場をしっかり監視していかなければいけない。地域への説明も含めて、県と綿密に連携して対応していく」と述べた。

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