国交省、ルート決定過程回答 南ア「地理的に回避できず」【大井川とリニア】
川勝平太知事は29日の定例記者会見で、JR東海がリニア中央新幹線のルートを決定した過程を巡り、国土交通省に確認を求めた6日付の文書に対し、同省から24日付で回答があったと明らかにした。JRが2011年6月に公表した環境影響評価(アセスメント)の配慮書で南アルプス(大井川上流域)を通る概略ルートを選んだ理由について、回答では大量湧水発生の恐れが指摘された山梨県の巨摩山地北中部を避ける必要性から「南アルプスは地理的制約により回避できないため」と説明した。
川勝知事はこれに対し「概略ルート決定過程の事実関係を説明しただけ。不透明性を解消できたと思えない」として、同省に改めて回答を求める意向を示した。
回答では概略ルートの選定に先立ち、同省交通政策審議会小委員会が11年5月に南アルプスルートの採択を国交大臣に答申した理由についても「他のルートと比較して環境への影響が小さいからではなく、経済性、速達性などさまざまな観点を総合的に勘案した結果」と記した。川勝知事はこの点も「答申の段階で環境への影響を軽視したと自ら認めた回答だ」と批判した。