あなたにとって理想の公園は②有識者インタビュー【賛否万論】

 新型コロナウイルス禍をきっかけに、公園は幅広い世代に利用されるようになりました。一方、老朽化が進み、ほとんど使われなくなった公園も増えています。子どもや高齢者にとって大切な公共スペースを、ワクワクするような場所に生まれ変わらせることはできないでしょうか。公園づくりをテーマに講演活動などを行う町田誠・公園財団常務理事(62)に話を聞きました。

公園財団常務理事・町田誠さん
公園財団常務理事・町田誠さん
大型遊具を楽しむ子ども。週末は大勢の親子連れでにぎわう=静岡市内
大型遊具を楽しむ子ども。週末は大勢の親子連れでにぎわう=静岡市内
都市公園等の現況及び推移
都市公園等の現況及び推移
諸外国の都市における公園の現況
諸外国の都市における公園の現況
公園財団常務理事・町田誠さん
大型遊具を楽しむ子ども。週末は大勢の親子連れでにぎわう=静岡市内
都市公園等の現況及び推移
諸外国の都市における公園の現況


 

民間管理で利用者の意識に変化


 ―コロナ禍をきっかけに公園の価値が見直されています。全国の公園の状況を教えてください。
 全国には11万カ所、計13万ヘクタールという、とんでもない量の公園があります。全てを合わせれば、静岡市の面積ほどの大きさになります。現在の公園の年間整備予算は3500億円ほどに減りましたが、1995年のピーク時は約1兆2000億円。 多額の税金を使ってきました。今でも年間1000ヘクタールずつ公園は増えている。一方、維持管理が追いつかず、木々がうっそうとして治安が悪くなったり、使われなくなったりしている公園が増えているという現実があります。 20年、30年先を見据えた仕組みの中で、公園をよみがえらせていかなければいけないと考えています。

 ―どうすればよみがえらせることができますか。
 これを言うと多くの反発があるのですが、まずは公園行政に身を置く人たちが、「公園は使われてなんぼ」という一般的な社会感覚を重く受け止める必要があるのでは。 環境の効用や防災的な役割をいくら主張しても、公園の価値観としては利用者になかなか共感されないのが現実なのではないでしょうか。公園の整備費や維持管理費の多くは税金で賄われています。「誰が負担しているのか」ということを常に意識し、 民間の協力も得ながら多くの市民が必要とする環境を整え、街の空間価値を高めていかなければいけない。公園を作りっぱなしにして、「あとは来るも来ないも自由です」では、行政の不作為としか言いようがない。 私は「貴重な植物や昆虫が生息する場所をつぶしてでも」と言っているわけではありません。


 

社会の不寛容化


 ―公園は「ボール遊びダメ」「自転車ダメ」の禁止事項ばかりというイメージがあります。
 自治体などの管理者は「猫にえさをあげている人がいる」とか「たばこを吸っている人がいる」とか「子どもの声がうるさい」とか、住民からのさまざまな苦情の中に身を置いています。 こうした声を受け止めるうちに「ダメダメ看板」が増えていく。東京都の公園緑地部長をしていた時の印象的な出来事として「犬のリードを外している人がいる」という苦情がありました。 聞けば、早朝4時のことで公園には飼い主以外、誰もいませんでした。リードを外した飼い主の気持ちも理解できるし、しつけられた飼い犬なら良いのではと個人的には思います。 「どうにかしろ」と言ってきた人は、朝の4時に自宅の窓から公園を見ているわけです。以前に別の事情があったのかもしれませんが、不寛容な社会が公園管理者を「うるさい番人」にしているという側面もあるのではないでしょうか。

 ―コロナ禍をきっかけに、公園は幅広い世代に利用されるようになりました。
 そうした価値をもっと高めることができるはずです。例えば、公園に行ってベンチに座るというイメージは誰でも湧くでしょう。でも、公園に行って寝転ぶというイメージはないですよね。 「サマーベッドで2時間昼寝してみるか」という使い方が普及すれば、公園は1日の中の多くの時間を過ごせる社会的な装置になる。地域の中で「どんな公園の使い方なら大丈夫か」を考えてみることです。 あずまやで将棋を指すことはいいでしょう。バーベキューが難しそうなら、テーブルセットを持ち込んでの火を使わないパーティーならできるか。テントを張るのはいいか。小さな公園であればあるほど、ステークホルダー(利害関係者)は少ない。 そのうち公園を貸し切りにするシェアリングだって可能になるかもしれません。世代によって利用時間帯を分かち合うこともできるでしょう。

 ―制度的に可能なのでしょうか。
 2017年の都市公園法改正で、地域で公園ルールなどを決める「公園協議会」を設置できる規定が設けられました。これからは発想を変え、向こう三軒両隣がOKならばバーベキューをやってもいいというような仕組みを運用していかなければ、 全国11万カ所の公園の多くは「負の遺産」になってしまうでしょう。パークよりもガーデンを目指す。地域のガバナンス(管理)に委ね、周辺住民が「いいですよ」と納得する状態をつくることです。 自分も、ある公園協議会の会長をやっています。最初の話し合いはいざこざがあるかもしれません。しかし、言いたいことを言わないのが一番良くない。公園に対する愛情が大きい人同士ほど熱くなりますが、いずれ風向きは変わります。


 

住民みんなの場所


 ―民間団体が指定管理者になっている公園も増えています。
 民間団体がやると、公園の禁止事項もだいぶ緩やかになるという傾向があります。苦情が出ている公園に役人が出ていくと、公権力と私権の対峙(たいじ)なので、どうしてもヒートアップしてしまう。 そうすると苦情と禁止看板のスパイラルに入っていく。民間セクターの管理者ならば、共感という違う出口に向かっていく可能性が高い。 今後は自治会、もしくは自治会の声を代弁できるような民間団体が指定管理者になるケースが増えればいいなと思っています。禁止事項を記した看板の最後に、市役所の担当課ではなく、 自治会の名前と会長の電話番号があれば苦情はほぼなくなるでしょう。住民みんなの公園なのだから、「自分に文句を言ってもしょうがない」「自分たちで解決しなきゃ」という考えに変わっていく。利用者の意識が変わるきっかけになればと期待しています。

1982年、建設省に入省し、東京都公園緑地部長、国土交通省公園緑地・景観課長などを歴任。2017年の都市緑地法・都市公園法等改正に携わった。 18年の退職後はフリーランスとして、公園づくりをテーマにした講演会活動などを展開。浜松市が2年前にパークPFI(公募設置管理制度)を活用した際には、事業者選定委員長を務めた。横浜市立大大学院客員教授。21年から公園財団常務理事。


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