大学生、街頭演説の現場へ 「選挙との距離」痛感【決める、未来】

 22日公示された参院選はロシアのウクライナ侵攻などに伴う物価高騰や防衛力強化など、今後の国民生活の在り方を大きく左右する重要な選挙となる。静岡新聞社は参院選を皮切りに展開する若者投票率向上キャンペーン「決める、未来」の関連企画として、県内在住の19~21歳の大学生5人に、候補者の生の第一声など街頭演説を聞いてもらい、若者の目にどう映ったのか印象を尋ねた。  

近寄りにくい感じ 会場の雰囲気


photo03 静岡大地域創造学環・河合美智香さん

 学生は別々に移動し、午前から静岡市などで始まった各候補の演説をそれぞれ1、2人分聞いた。ほぼ全員が口にしたのは聴衆に「若者が少ない」という点。「女性も少ない」「一般の人は近寄りにくい感じ」との声もあった。それでも静岡大地域創造学環4年の河合美智香さん(21)は「集まった人々を見ると、どんな人に応援されている候補なのか分かるし、人柄や熱気も伝わってくる。インターネット情報では分からない候補者の姿が感じられて新鮮」と現場ならではの利点を語った。


具体例欲しかった 政策への注目


photo03 県立大短期大学部・土屋加織さん/静岡大人文社会科学部・高橋尚暉さん

 学生もコロナ禍の長期化で生活は厳しい。注目するのはどんな政策か。県立大短期大学部2年の土屋加織さん(19)は「最低賃金引き上げ、男女の賃金格差解消などの公約が印象に残った。ただ、経営が厳しい企業がどうやって賃金を上げるのか気になった」と自分の将来も見据えて耳を傾けた。静岡大人文社会科学部4年の高橋尚暉さん(21)は外交・安全保障政策に注目。「『国の安全があってこそ国民の暮らしがある』という言葉に共感した。ただ、『連立与党にしかできないことがある』と強調していたが、具体例が欲しかった」と注文を付けた。


もっと分かりやすく 同世代の関心向上


photo03 常葉大短期大学部・見原翼さん/静岡英和学院大人間社会学部・植松葵さん
 

 昨年10月の衆院選で県内の20~24歳の投票率が年代別最低の28.74%にとどまった。常葉大短期大学部2年の見原翼さん(19)は街頭演説の横を通り過ぎる若者を見て、「自分の声は届かないと諦めている人もいる一方、持続可能な開発目標(SDGs)やジェンダー、まちづくりなど政治に興味ある若者もいる。候補者にはもっと若者の活動を知ってほしい」と強調した。
 静岡英和学院大人間社会学部2年の植松葵さん(19)は投票先を選ぶ基準として「どれだけ市民のことを考え、寄り添ってくれるかで判断したい。若者も1票を投じたくなるよう分かりやすく具体的な政策を」と求めた。


 
 ■投票率向上キャンペーン「決める、未来」
 静岡新聞社は、若年層の投票率が低い状況を社会的な課題と受け止め、若者投票率向上キャンペーン「決める、未来」を展開します。「なぜ若者はあまり投票に行きたがらないのか」「どうしたら政治への関心や期待を高められるか」といった疑問への答えを探るため幅広い人々に取材し、新たな視点の企画を掲載していきます。

 

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