山梨・雨畑ダム発電再開へ 3年ぶり、堆砂除去半ば

 日本軽金属雨畑ダム(山梨県)の堆砂問題で、水害を引き起こしてストップしていた湛水(たんすい)と発電が近く再開されることが21日までに、関係者への取材で分かった。同ダムでは堆砂除去を5カ年計画で行う予定だったが、ダムの再稼働を見切り発車する事態に、近くの集落の住民は複雑な表情だ。

発電再開に向け近く再び水をためることになった雨畑ダム湖からすぐ上流の雨畑川。依然土砂が河床を覆っている=6月上旬、山梨県早川町(地元住民提供)
発電再開に向け近く再び水をためることになった雨畑ダム湖からすぐ上流の雨畑川。依然土砂が河床を覆っている=6月上旬、山梨県早川町(地元住民提供)

 ダムは国から土砂撤去の行政指導を受けた直後の2019年8月の台風で、集落に冠水被害などをもたらした。その後、地元の反発を受けて湛水と発電を停止した。ことし7月1日までに湛水を再開し、同日からダム湖と導水管でつながる角瀬発電所が発電開始する。
 取材に対し、日軽金は「20~21年の短期計画で300万立方メートルの土砂移動と搬出を行った」と回答。河道を確保したことを再稼働の理由とした。
 ただ、ダム上流の雨畑川からは毎年、平均50万立方メートルの新たな土砂が流入する。また、20年11月時点でダムの堆砂率(総貯水容量に対する堆砂の割合)は120%で、1630万立方メートル以上の土砂があった。日軽金は現在の堆砂率を住民にも明らかにしていない。
 同社は国に対し、20~24年度に計700万立方メートルの土砂撤去を約束したが、道半ば。周辺の男性は「水利権をまっとうに行使するということだと思うが、地元が埋まらないことを一番に願っている」と淡々と述べた。
 (「サクラエビ異変」取材班)

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