株主優待にESGの波 自然保護寄付、授産製品採用…SDGs意識

 静岡県内上場企業の間で、株主優待相当額を自然保護団体に寄付するなど、株主に優待制度を通じて環境、社会活動支援の機会を提供する動きが広がっている。ESG(環境・社会・企業統治)投資への関心の高まりを背景に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を組み込んだ新たな財務戦略を打ち出し、新型コロナウイルス禍の厳しい経営環境の中で株主に訴求を図る。

授産製品の割り箸を加えたはごろもフーズの株主優待品
授産製品の割り箸を加えたはごろもフーズの株主優待品

 スクロールは本年度、これまで自社グループ商品の割引に換えていた優待券の相当額を、県グリーンバンクに寄付できるよう変更した。寄付金は緑化ボランティア団体の支援などに充てる。保有株式100株から参加できる。担当者は「環境のために行動したいと考える株主を後押ししたい」と話す。
 ヤマハは2016年から、世界自然保護基金(WWF)への寄付を優待の選択肢に入れている。寄付額は保有株式数に応じて1500~7千円とし、毎年、一定数の株主から申し込みがあるという。
 人権分野の啓発につなげている企業もある。サッカーJリーグのチケットなど多彩な優待品をそろえるヤマハ発動機は15年以降、日本盲導犬協会に寄付できるプランを提案している。
 はごろもフーズは3年前から、ツナ缶などの自社製品詰め合わせセットの中に、割り箸やハンドタオルなど県内障害者就労支援事業所の授産製品を加えている。後藤康雄会長は「授産製品への社会的理解が広がってほしい。優待などで活用する企業がもっと増えれば」と期待を込める。

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