記者コラム「清流」 ものづくりの街の職人技

 河合楽器製作所竜洋工場(磐田市)の歴史資料館での取材後、同社のはからいで工場見学をさせてもらった。グランドピアノなどを製造する竜洋工場は「森の中の緑の工房」と呼ばれ、50%を緑地化してゆったりした印象だが、工場に入ると雰囲気は一変した。
 繊細な音色を奏でるピアノづくりは、想像以上に手作業による工程が多い。1台につき約230本の弦を1本ずつフレームに張る「張弦」や、工具で弦の張力を調整してドレミの音階を作る「調律」は職人技。働く人たちの真剣なまなざしや熱気が工場内に満ち、張り詰めた空気を感じた。
 見学は現在、新型コロナの影響で一般受け入れを中止しているが、再開後は大人にもお勧めのスポットとして紹介したい。
 (浜松総局・大山雄一郎)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞