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鈴生、野菜生産の脱炭素に力 廃棄の葉や茎、肥料に活用

 農業生産法人の鈴生(静岡市)が今年から、野菜栽培で排出される二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減に向けた取り組みを本格化させている。脱炭素化で食の安全性を高め、持続可能な農業の推進や生産野菜の付加価値向上につなげる。農業分野では、特に露地栽培で脱炭素化に取り組む生産者はまだ少なく、同社は年内に排出削減量を算定するシステムを構築し、周辺農家などへの普及も目指す。

化学肥料や化学農薬の使用を減らして生産される鈴生のレタス。脱炭素化に率先して取り組む=菊川市内
化学肥料や化学農薬の使用を減らして生産される鈴生のレタス。脱炭素化に率先して取り組む=菊川市内

 温室効果ガス排出の原因となる化学肥料の使用量を慣行栽培基準の80%以上、化学農薬を同50%以上それぞれ削減した。化学肥料の代替は、従来廃棄していた枝豆の収穫後の葉や茎、水産加工会社から譲り受けた魚の残渣(ざんさ)などを粉末化して活用。農薬を減らした分、雑草はこまめに刈り取って収穫量と品質の向上を図っている。
 総務責任者の繁田明日加さん(38)は「温室効果ガス排出削減は、以前から力を注ぐ有機栽培の延長線上にある取り組み。安全・安心な野菜を追求した結果、脱炭素化に行き着いた」と話す。
 取引先からも高評価を受ける。鈴生は4月、年間約250トンのレタスを卸しているパッケージサラダ最大手のサラダクラブ(東京都調布市)の表彰制度で、県内ではJAとぴあ浜松とともに最優秀賞を受賞。環境に配慮しながら、高品質なレタスを安定供給したことが決め手となった。
 鈴木貴博社長(46)は「脱炭素への対応が遅れた生産者は、世界的な潮流に反するとして取引先を失う恐れすらある。当社が率先することで、地域農業の持続的発展に貢献できれば」と語った。

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