あなたにとって理想の公園は①【賛否万論】

 静岡市が同市葵区の城北公園にカフェなどを整備する計画を進める中、中心施設となる予定だったスターバックスコーヒー(スタバ)が出店を辞退しました。計画に対する住民の賛否が分かれていることが背景にありそうです。親子連れや高齢者、地元住民など立場によって公園に求めるものはさまざまです。新型コロナウイルス禍で幅広い世代の利用が増える今、あなたの近くにある公園をどうすればみんなで有効活用できるでしょうか。

都道府県別1人当たり都市公園等整備現況
都道府県別1人当たり都市公園等整備現況
自転車の乗り入れなどを禁止する看板=静岡市内
自転車の乗り入れなどを禁止する看板=静岡市内
都道府県別1人当たり都市公園等整備現況
自転車の乗り入れなどを禁止する看板=静岡市内


 

子ども、どこで遊べば…


 ウオーキングにいそしむ高齢者や、ベンチでパソコンをたたく会社員らしき男性、水辺のザリガニに興奮する親子。平日の昼下がり、静岡市葵区の城北公園はそれぞれが思い思いの時間を過ごしていた。約6ヘクタールと大きめの公園で、日本庭園やボール遊びのできる広場もある。

 2歳の次男を連れていた女性(38)はスタバ計画が白紙になった一件について苦笑いを浮かべた。「スタバ、ほしかったですね。でも、この公園は自然もあって遊具もあって、非の打ちどころがない。スタバが来たら、今の良い部分が減ってしまったかも…」

 女性は都内から静岡市に引っ越してきたばかりで、県内の公園巡りを家族で楽しんでいるという。「東京に比べて、遊び場は多い」。だが、身近な公園には不満をのぞかせる。「禁止ばかりで窮屈。自転車やボール遊びができない公園なんて、意味が分かりません」

 園内でおしゃべりを楽しんでいた母親グループからは、自宅周辺の公園について「小学生が楽しめる遊具がどんどん無くなっている」という声が漏れた。老朽化に伴い次々に撤去され、代わりに幼児用遊具や高齢者向けの健康器具が増える傾向にあるという。カフェなどの整備は二の次のようだった。

 ■ボール遊びや自転車禁止

 日本学術会議は2020年に出した提言「我が国の子どもの成育環境の改善にむけて」の中で、「子どもが外で遊ばなくなっている深刻な危機にある」「禁止事項が少なく、魅力的で、住民が自主的に管理できる公園や緑地が圧倒的に不足している」と全国的な問題を指摘した。

 静岡市が最近新設した主な公園11カ所のうち、「人の迷惑になるボール遊びはしない」もしくは「ボール遊び禁止」の看板が設置されたのは9カ所。自転車の乗り入れ禁止は7カ所。日本公園緑地協会の16年度アンケート調査では、人口30万人以上の都市の半数以上が「ボール遊び」を規制していた。

 管理者には「音がうるさい」「怖い」と近隣住民の声が届くことが多く、静岡市の場合は自治会や公園愛護会などに相談してルールを決めている。担当者は「何でもできる公園にしようとは伝えているのですが、利用者からはさまざまな声があり…」と説明する。

 ■公民連携を模索 

 公園の整備は1972年の都市公園等整備緊急措置法の制定で急速に進み、全国の公園数は当時の約1万2000カ所から11万2000カ所に増えた。1人当たりの公園面積は約11平方メートルで、国民全員に6畳一間ほどのスペースが割り当てられる計算になる。県内は約2600カ所、計3000ヘクタールが整備されている。

 一方、厳しい財政事情の中で各自治体は維持管理費を増やせず、公園愛護会も高齢化が進む。ほとんど使われていない老朽化した公園は多く、防災や、街並みの形成など公園のさまざまな機能が失われてしまう懸念がある。

 「公園を使いこなそう」などをテーマに市民参加のワークショップを開催する浜松市公園課の担当者は「利用者の希望を市役所だけが受け止める一方通行の公園から、双方向の時代へと変わっていく必要がある。どうしたら公園の価値を高めていけるか。市民の方々と一緒に公園を盛り上げていきたい」と公民連携を模索する。

 

沼津市、市民の声聞き 空間づくり


 身近な小規模公園を輝かせようと、県内外でさまざまな取り組みが進む。

 沼津市は2018年、市町単位では県内初となる「パークマネジメントプラン」を策定した。同市内の公園は約150カ所。それぞれの地域事情に応じた「公園別プラン」を作成しながら、市民と一緒に理想の空間づくりを進めるという。

 市は「年間を通してにぎわいのある公園、子どもから高齢者までさまざまな世代が利用したくなる公園を目指したい」(緑地公園課)としている。

 東京都武蔵野市では市内を11エリアに分け、エリア内の公園で機能を補完し合えるようリニューアルを進める。例えば、ある公園は遊具を撤去して広場を整備し、ある公園は花木を植栽し、ある公園は大型遊具の導入で子ども遊びに特化する-など、それぞれに特徴を持たせる狙いだ。

 公園の利用ルールについても、各自治体の工夫が見られる。ボール遊びなどを一律に規制するのではなく、「リフティングやパス回し、ゴムボールのキャッチボールまではできる」と明確にしたり、利用者との協議で「スケートボードは午後8時まで」としたりする例がある。

 

児童クラブ設置も 柔軟な活用推進へ


 国土交通省は人口減少社会の中で、既存の公園を「柔軟に使いこなす」ことを求め、地域に合わせたルール作りや、公民連携による整備・運営などを推進している。

 2017年の都市公園法改正で、公園内に保育所などの設置が認められるようになったほか、民間活力の導入を目的としたパークPFI(公募設置管理制度)などが創設された。これを受け、静岡市の新富公園に放課後児童クラブが整備され、同市葵区の城北公園ではカフェなどの整備計画が進められている。

 ことし2月には大学教授らでつくる「都市公園の柔軟な管理運営のあり方に関する検討会」を設置し、利用ルールの多様化や管理運営の担い手の拡大、デジタル化の促進などをテーマに議論している。今秋までにとりまとめ、制度改正や事業づくりに反映させる考えだ。

 担当者は「新型コロナの感染拡大を契機とした新しい社会への対応など、公園には新たな役割が求められている」としている。

 

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