記者コラム「清流」 知らない市民が悪いのか

 「市民の意見で私がよく遭遇するのは『知らない』」。静岡市の市民討議会の報告会で田辺信宏市長がした発言だ。清水区に建設予定の海洋文化施設について、12年前から関係者と協議を進めてきたが、「残念ながら市民は知らない」と。
 討議会を通じて市民に市の事業をPRする機会を得られたことに対し、実行委に謝意を伝える意味での発言であったが、若干の違和感を覚えた。市の取り組みやその背景について、市民に理解してもらえるよう情報発信していくべきは行政側の役割ではないだろうか。
 多くの市民が知らないうちに多額の税金を必要とする事業が進んでいてはその方が問題だ。批判の声を嘆くのではなく、知ってもらうために最善を尽くしてほしい。

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