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円安、顧客維持に苦慮 静岡県内輸入小売業、仕入れ値2倍も

 東京外国為替市場で24年ぶりに一時1ドル=135円台を付けるなど円安が急速に進み、輸入物価の高騰に食品関連の県内小売業者が対応に苦慮している。新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻を受けた世界的な原油、穀物相場の上昇に円安が加わり、経営は青息吐息。「これ以上は耐えられない」。事業者は、商品を小分け売りしたり、配送コストを削減したりして必死に耐えしのいでいる。

中南米などから仕入れたコーヒー豆が並ぶ売り場=14日午後、静岡市駿河区
中南米などから仕入れたコーヒー豆が並ぶ売り場=14日午後、静岡市駿河区

 「顧客が離れないか心配だ」。中南米やアフリカなど15カ国のコーヒー豆を販売する「創作珈琲工房くれあーる」(静岡市駿河区)の内田一也代表は、海外からの仕入れ価格の高騰を嘆く。
 コーヒー豆1ポンド(約450グラム)当たりの足元の先物価格は主要産地ブラジルの不作で一昨年比2倍以上にかさみ、対ドルで4月から約20円下落した円安がコスト増に拍車を掛ける。店頭価格を据え置いて懸命に顧客をつなぎ留めるが「仕入れ価格は今後も上がり続けるかも」と気をもむ。
 精肉店「ケイ・ミート」(同市葵区)は、円安などで米国、カナダ産品の仕入れ値が前年比で2倍近くに上昇した。牛バラ肉やタンなどを約5割値上げした一方で、セット商品の肉の構成を変えたり、パック当たりの分量を減らしたりして割安感を打ち出す。
 「大半の商品で値上げせざるを得なかった」と語ったのは洋酒販売の「ワインハウス新美」(浜松市中区)の新美尚巳社長。4月以降、千円~5千円値上げしたシャンパンもあった。「輸入業者からは6月以降も値上げがあると聞く。秋のボージョレ・ヌーヴォーは相当な高値になる」と不安視する。
 商材の約8割が輸入品という製菓材料卸の平出章商店(同市東区)は、販売先に上昇分の価格転嫁を要請するほか、配送コストの見直しなどで経費節減を進める。

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