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タブレットで気軽に相談 掛川市教委導入半年 児童生徒ケアに効果

 掛川市教育委員会が導入した児童生徒向け悩み相談システム「こころの相談ノート」が、運用開始から半年を迎えた。1人1台配布のタブレット端末で相談を受け付けるアイデアは子どもたちの問題行動の減少につながり、全国の自治体から問い合わせが相次ぐ。三島市教委が類似の仕組みを導入するなど、学習用タブレットを学び以外に活用する動きが広がっている。

掛川市教育委員会が運用している悩み相談システム「こころの相談ノート」=6月上旬、同市教委
掛川市教育委員会が運用している悩み相談システム「こころの相談ノート」=6月上旬、同市教委

 学習用端末を使い悪口を書き込むといったいじめが全国的に相次いで確認されたことを受け、前向きな活用法の検討からシステム開発に取り組んだ。いじめや勉強、家庭などの悩みを周囲の目を気にせずに相談できる仕組みで、2021年12月から22年5月末までに453件が寄せられた。内訳はいじめが179件と突出し、勉強56件、家庭52件と続く。
 システム導入の大きな効果として、暴力行為や暴言、出席停止など問題行動の大幅な減少が続いている。2月は前年同月比12件減の16件、3月は20件減の12件にとどまるなど、運用開始以降は前年同月を2~6割下回る水準で推移している。
 市教委によると、子どもたちの悩みが問題行動にまで発展すると、その対応には多大な時間と労力が要る。現場で生徒指導を担った経験がある大原基彰指導主事(41)は「問題行動になってしまった場合の負担を想像すると、早期に芽を摘んでいることで絶大な効果が生まれている」と話す。
 システムの改良も続けていて、5月下旬には児童生徒が悩みを共有したい相手を指定しやすくなるように手を加えた。運用を主導する鈴木佑紀主事(25)は「誰に知ってほしいか分かれば対応しやすい。より円滑な支援につながった」と手応えを口にする。
 三島市教委も1月からウェブページ「心の相談」を開設し、タブレット端末による相談を端緒にカウンセラーが児童のケアに当たるなど実績を上げている。市教委の担当者は「対面では悩みを声に出せない子どももいる。相談のきっかけを作ることができた」と意義を強調する。
 

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