風鈴 自然や動植物から着想 小埜みよさん(浜松市中区)【ものづくりびと 県内作家の小さな工房】
これからの季節、風とともに鳴る風鈴の音が、いっときの涼と安らぎをもたらす。浜松市中区の小埜みよさん(42)が作る風鈴は、「クラゲのよう」とも言われる柔らかな雰囲気があり、目に入った時にも癒やしを与えてくれる。
小埜さんは約10年前、結婚を機に名古屋市から浜松市に移住。自然豊かな同市北区引佐町にアトリエを構えて、創作活動を行っている。風鈴は、アトリエ周辺で出合う動物や草木の芽吹き、雨粒などをヒントに、「一番美しい瞬間」(小埜さん)というガラスが溶けている時の状態や艶も表現しようと成形している。開口部の大きさや、内側の「舌」と呼ばれる部分のガラスの形状によって奏でる音はさまざま。真ちゅうやドライフラワーと組み合わせた物もあり、和洋のどんな空間にもなじむ。
子どもの頃からガラスをはじめ、ろうやあめなど「溶けて固まる物に引かれていた」という。愛知県内の高等技術専門校でガラス工芸を学んだものの、生業にするのは難しいと工務店に就職。しかし、ガラスへの思いは途切れることなく、ガラス棒をバーナーで溶かしながら製作する「バーナーブロー」を始めた。
周囲の後押しをきっかけに、5年ほど前からさまざまなイベントに出店するように。「技術を高めてきれいに作りたいと思っていたが、実際は個性的な物が好まれる」と試行錯誤する。
バーナーブローによるガラス製品は、ワイングラスの脚などの接合部分が取れてしまっても修理ができる。実際そうした依頼もあるという。「壊れても直しながら、長く手元に置いておきたくなるものづくりを目指したい」と話した。
おの・みよ 京都府生まれ。「lamne(ラムネ)」の名前で、静岡県内外のクラフト市に出店するほか、雑貨&ギャラリー「のあのあ」(浜松市中区)で器やアクセサリーなどを販売している。詳細はインスタグラム<@miyo_lamne>へ。