工業の学び 在学中に実践 浜松工高定時制と商議所連携

 浜松工高定時制(浜松市北区)と浜松商工会議所が連携して本年度、工業教育の学びを在学中から地域の製造業で生かす就労支援の取り組みに乗りだした。同校定時制は工業技術実習が多い教育課程の一方、通学前の時間帯に工業以外の仕事に従事する生徒が多いのが現状。若手人材を確保したい中小製造業と、企業情報が届きにくい生徒とのマッチングを促進する。

定時制の生徒に事業概要や働き方などを説明する企業関係者=3日、浜松市北区の浜松工高
定時制の生徒に事業概要や働き方などを説明する企業関係者=3日、浜松市北区の浜松工高


 3日夜、同校で行われた初の説明会では、自動車部品や工作機械関連など3社の代表が1~3年の58人に事業や経営理念、働き方を紹介した。希望する生徒は各社で数日のインターンシップを行い、合意すれば就労する。秋までに計12社が説明会への参加を予定する。
 大手の採用活発化で中小の若手人材確保は困難な状況が続く。登壇した輸送機器部品検査業「エイ・エム・シー」(北区)の伊倉栄太郎代表(44)は「生徒に直接説明できる機会は貴重。若い力に戦力になってほしい」との願いを込めた。
 通学前、自宅に近いファストフード店でアルバイトをする男子学生(16)は「ものづくりに興味があってこの学校に進んだ。福利厚生の話に関心があり、働いてみたい気持ちになった」と話した。
 同校によると、在校生の約半数を占める未就業者を除き、工業技術職(建築系を含む)で就業している割合は正社員やアルバイトなどを合わせて約2割にとどまる。身近な飲食・サービス、販売の従事者が多いという。卒業生の進路も2020年度までは正社員の工業技術職は半数程度だった。
 在校生へのアンケートで、知識を生かせる求人募集情報が分からないとの声が上がり、進路課が浜松商議所に相談した。同商議所が会員企業に参加協力を呼び掛けると、予定枠はすぐに埋まった。担当者は「ニーズの高さを実感した。マッチングの結果を検証し、来年度以降の継続も検討したい」としている。
 同校定時制の須山訓秀教頭は「浜松地域には工業の学びを実践できる企業が多い。定時制のキャリア教育や就労のモデルケースの一つになれば」と期待を寄せる。

 <メモ>静岡県教委によると、県内公立高の定時制課程の通学者(2021年5月1日時点)は、夜間の学年制が18校(22年3月末で閉課程となった静岡市立を含む)982人、単位制が3校1642人。このうち、通学時以外の時間帯に就業する割合は正社員などが0.8%、アルバイトなどが37.9%。

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