高まる値上げ圧力 静岡県内スーパー各社、知恵絞る

 4月の全国消費者物価指数が13年ぶりの高水準を記録するなど家計の負担が増す中、県内スーパー各社が主力の食料品の価格対応に知恵を絞っている。原油や小麦、油脂類の価格高騰でメーカー側からの値上げ圧力は高まる一方で、各社はプライベートブランド(PB)導入や商材の産地変更など工夫を凝らしながら、顧客満足度の維持と収益確保に全力を挙げる。

静鉄ストアが導入したプライベートブランドが並ぶ売り場。各社は顧客つなぎ止めに向けて工夫を凝らす=5月下旬、静岡市葵区
静鉄ストアが導入したプライベートブランドが並ぶ売り場。各社は顧客つなぎ止めに向けて工夫を凝らす=5月下旬、静岡市葵区

 「これだけのコスト増はリーマン・ショック(2008年)以来」。静鉄ストア(静岡市葵区)商品部の山口悟副部長はため息をつく。主産地の天候不順などを受け、ジャガイモやタマネギの他、うどんやパスタといった小麦関連品を昨春ごろから1~2割程度値上げした。買い物に訪れた同区のパート女性(70)は「おかずの種類を減らすなど我慢しなくては」とこぼす。
 同社は対応策として、顧客の意見を取り入れ開発したPB「いい値チョイス」を全31店舗に投入。味や内容量、価格などで事前に顧客の8割以上から支持を得た商品のみを扱う。売値は通常品の8~9割に抑えた。山口副部長は「数円でも、消費者は加工食品などの値上げには敏感。メーカーと調整し、他店の動向も注視する」と値付けに神経をとがらせる。
 スーパーおさだ(静岡市駿河区)は、刺し身用のサーモンをノルウェー産から国産に切り替えた。ロシアのウクライナ侵攻に伴う輸送ルートの迂回(うかい)や円安で、仕入れ値が1キロあたり約500円上昇したためだ。おにぎりやかき揚げといった総菜の多くも1割程度値上げした。担当者は「品数を維持しつつ、1点あたりの価格を上げないように内容量を減らすなどして対応している」と話す。
 遠鉄ストア(浜松市中区)も対応を急ぐ。担当者は仕入れ先からの値上げ要望に対し「取引先の選択肢の幅を広げていく必要がある」と述べた。

 <メモ>全国スーパーマーケット協会などがスーパー154社を対象にした4月の景気動向調査によると、価格上昇などによる販売商品数の減少を受け、DI(景気動向指数)値は売上高、収益いずれも下降した。一方、食品仕入れ原価と販売価格のDIは、2014年の調査開始以来、最高値を記録した。

 

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