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推定1000万円超の利益 沼津の盛り土、被告に懲役1年求刑

 無許可で盛り土を繰り返したとして沼津市土砂埋立て等規制条例違反の罪に問われた同市柳沢、建設業の男(85)に対する1日の静岡地裁沼津支部初公判で、検察側は、被告は5年ほど前から、旧知の業者の依頼で2トンダンプ車1台分の土砂を2千円で受け入れるなどして、これまでに推定1千万円以上の利益を得ていたことを明らかにした。
 裁判は即日結審し、検察側は懲役1年を求刑、弁護側は執行猶予付き判決を求めた。判決は22日に言い渡される。
 論告で検察側は、再三にわたり市からの指導や命令を無視し盛り土を繰り返した行為は「強固な犯意に基づく犯行で悪質。土砂が崩れ落ちる危険性も高く、周辺住民に与えた不安は大きい」と述べた。
 弁護側は、被告が起訴内容を認め反省しているとした上で、問題となった盛り土の土地について「売却して、被害回復の費用を賄う。残土の受け入れ事業からも手を引く」と述べた。
 起訴状などによると、被告は2019年1月18日ごろから21年12月28日ごろまでの間、沼津市長の許可を受けず、同市宮本の市街化調整区域約1325平方メートルに高さ3・9メートルから18・5メートルの盛り土をしたとされる。

 ■「生活費のため」 被告が弁解
 沼津市土砂埋立て等規制条例違反の罪に問われた被告は1日の被告人質問で、同市の違法な盛り土について「生活費のため、残土を受け入れお金をもらうようになった」と弁解した。
 被告人質問では、腰を悪くし以前のように働けなくなったことから、残土処分を商売として始めたと釈明。昨年7月の熱海市伊豆山の大規模土石流発生後も続けた。検察官から、人命に関わる危険性を考えなかったか問われると「やめないといけないとは思っていた」と言葉を濁した。
 盛り土は現在、撤去されず手つかずの状態。被告は「近隣の人たちに心配をかけないよう、責任を取って片付ける」と語った。

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