三保の誇り「水族館」営業終了へ 市民から驚きと惜別の声

 「地域の誇りだったのに」「思い出の場所なので残念」-。「三保の水族館」として親しまれた東海大海洋科学博物館と自然史博物館が本年度で有料入館を終了することが明らかになった1日、近隣の売店業者や地元市民から驚きや営業終了を惜しむ声が上がった。

サメやエイが泳ぐ縦横10メートル、高さ6メートルの巨大水槽=静岡市清水区三保の東海大海洋科学博物館
サメやエイが泳ぐ縦横10メートル、高さ6メートルの巨大水槽=静岡市清水区三保の東海大海洋科学博物館
駿河湾の深海で採取され、2021年1月には新種として報告された「ヨコヅナイワシ」の標本展示=同年2月
駿河湾の深海で採取され、2021年1月には新種として報告された「ヨコヅナイワシ」の標本展示=同年2月
サメやエイが泳ぐ縦横10メートル、高さ6メートルの巨大水槽=静岡市清水区三保の東海大海洋科学博物館
駿河湾の深海で採取され、2021年1月には新種として報告された「ヨコヅナイワシ」の標本展示=同年2月

 「(東海大が周辺で運営した)三保文化ランドや人体科学博物館もあったころには1日に大型バスが20~30台も来た。当時としては珍しい展示ばかりで地域の誇りだった」
 博物館前で45年間、売店や食堂、駐車場経営に親族で関わる武藤正代さん(74)は、有料入館の終了を知り、肩を落とした。兄の坪井和夫さん(76)は「覚悟はしていた。少子高齢化のなか致し方ない」と唇をかんだ。周辺にほかの観光施設はなく、店などを続けるかは未定という。
 海洋科学博物館は縦横10メートル、高さ6メートルの巨大水槽などがあり、子どもから大人まで多くの人を楽しませてきた。
 少し前まで年間パスポートを使って長女(6)と訪れていた静岡市清水区の男性会社員(35)は「年に数回は訪れていた。子どもがクマノミが大好きだった」と話した。
 駿河湾の深海2100メートルで採取され、2021年1月に新種として報告された「ヨコヅナイワシ」の展示など学術上貴重な展示も行っていた。
 今後はバックヤードツアーなど無料での研究教育活動に専念する。
 近くでマリンショップを経営する男性(48)は「引き続きこの地域に関与してもらい、三保を盛り上げることに力を貸してもらいたい」と期待を寄せる。
 村山司博物館長は「より専門性の高い研究や発展的学習の場としていきたい」と語った。

 

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