静岡県産煎茶、ドバイに商機 「急須で一服」富裕層にヒット

 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで近年、緑茶が人気だ。中でも急須で入れる煎茶が好まれていて、県内の製茶業界も注目している。日本貿易振興機構(JETRO)ドバイ事務所は取引の拡大を視野に、同静岡事務所(静岡市清水区)に県内向けの輸出説明会の開催を打診。6月にオンラインセミナーを初めて開催する。

UAEへの最近の日本茶輸出状況
UAEへの最近の日本茶輸出状況
アラブ首長国連邦(UAE)の茶販売店で扱っている日本茶
アラブ首長国連邦(UAE)の茶販売店で扱っている日本茶
茶販売店で日本茶を楽しむ男性=いずれも27日(現地関係者提供)
茶販売店で日本茶を楽しむ男性=いずれも27日(現地関係者提供)
UAEへの最近の日本茶輸出状況
アラブ首長国連邦(UAE)の茶販売店で扱っている日本茶
茶販売店で日本茶を楽しむ男性=いずれも27日(現地関係者提供)

 「ロンドンの高級百貨店ハロッズを通じ、1キロ7万円の日本茶を買ったドバイの知人がいる」。8年前から現地に煎茶などを輸出する男性(60)は話す。
 ドバイにも欧州発の日本ブームの波が到来。男性は多いときには年間1千万円を売り上げた。チョコレート好きが多く、イスラム教徒はアルコールを飲まないため、お茶へのこだわりもある。「ドバイが中東の入り口となり、もともと緑茶文化のあるイランでも県産の煎茶が重宝されている」という。
 碾茶(てんちゃ)を使った「抹茶ラテ」を輸出する磯駒海苔(静岡市駿河区)の深田浩介社長(53)も「富裕層が多く、本物への理解がある市場」と話し、注目中だ。
 県お茶振興課によると、UAEへの日本茶の輸出は急増中。2021年は輸出量、輸出額ともに前年比ほぼ倍増した。輸出単価が5千円前後と他国に比べて2千円程度高いのが特徴で、輸出額に占める粉末状の製品の割合が米国などに比べて数十%低いことから「煎茶が好まれている」と分析する。増田浩章課長は「米国や欧州に比べてマーケットは大きくないが、煎茶に高い技術がある県内に強みがある」とする。
 JETRO静岡事務所が6月3日にオンラインで初めて開催する「ドバイ食品輸出セミナー」には県内の製茶業者に限らず、すでに多くの申し込みがあるという。ドバイ事務所の担当者や現地で弁当店を経営する男性が講演予定で、静岡事務所は「輸出ノウハウを持つ業者と持たない業者で県内は二極化している傾向。興味のある事業者にぜひ参加してほしい」と呼び掛ける。
 問い合わせは同事務所<電054(352)8643>へ。受け付けは1日まで。

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