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慢性疲労症候群の鈴木さん、団体設立 同病患者に経験伝え支援

 激しい倦怠(けんたい)感などで日常生活が困難になる「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」。1年前にそう診断された静岡市葵区の鈴木珠生(たまき)さん(51)が、同じ症状に悩む人の助けになればとこのほど、静岡県内初とされる患者団体を立ち上げた。鈴木さんは「自分の経験から、どうしたらいいか分からない人のナビゲーターになれれば」と話す。

約1年前にME/CFSと診断され、闘病を続ける鈴木珠生さん(左から2人目)。理解ある友人らの存在は心の支えだ=5月中旬、静岡市葵区
約1年前にME/CFSと診断され、闘病を続ける鈴木珠生さん(左から2人目)。理解ある友人らの存在は心の支えだ=5月中旬、静岡市葵区

 鈴木さんが体調の異変を感じ始めたのは、保険外交員として自転車で営業をこなす活発な生活を送っていた2020年末ごろ。自宅の照明やテレビの音が過度にまぶしく、うるさく感じるようになった。春先には長引く微熱や異常な疲労感に襲われた。通い慣れた顧客の家までの道に迷い、「骨を重機でひかれているような重さと痛みを感じることもあった」。
 婦人科や泌尿器科、心臓クリニックを転々としたものの、異常は見つからなかった。1年前に40度近い熱が出て、発熱外来を受診したが新型コロナウイルスは陰性。そこから一気に悪化し、家族のかかりつけ医の紹介で訪れた神経内科で初めて「慢性疲労症候群」の病名を聞いた。夫の良朗さん(63)は治療法のない病気に「ゴールが見えず、どうすればいいか不安になった」と当時の心境を語る。
 障害者手帳の交付申請などで市役所を訪れても病名を知らない職員ばかり。行く先々で病状を説明した。それでも、鈴木さんは理解ある家族や友人がいることや、発症から約半年で診断にたどり着き、身体障害者手帳を得られたことを「ラッキーだった」と言う。SNSなどで、何年も診断にたどり着かない、適切な支援に結び付かないという人がいると知ったからだ。
 団体は「心身の苦難をなくし、人としての生活の質を上げる」という思いから「ME/CFSクオリティ向上委員会」と命名した。メールを通じて同じ病気を抱える患者らの声を聞き、自身の経験を伝える場にする。患者同士の意見交換会や啓発イベントの開催も目指すという。
 手探りで始まった活動だが「何でもやってみないと分からない。きっと良い奇跡が起きると思う」。鈴木さんは力強く言い切った。
 団体のメールアドレスは<quality.mecfs11@gmail.com>

 ■「症状感じたら受診を」国立精神・神経医療研究センター 山村隆免疫研究部長
 ME/CFSは、健康だった人が突然激しい倦怠感などに襲われ、少なくとも半年以上、症状が続く。休養しても回復せず、重症例では生活全般において介護が必要な状態となり得る。
 国内の患者は10万~30万人とされる。原因は不明で国内に専門医は少なく、治療法は確立されていない。寝たきりだった患者が数年後には社会復帰できたケースもある一方、発症初期に無理を重ねるなどすると全く改善しないなど、回復の程度はさまざまという。
 東京都小平市の国立精神・神経医療研究センター神経研究所の山村隆免疫研究部長(神経内科)によると、ME/CFSはウイルス感染を機に起こるケースが半数以上。新型コロナウイルス感染後に発症したと考えざるを得ないケースも多く、コロナ後遺症との関連も指摘されている。
 その病名から「疲れがたまっている」「精神の病」などと誤解や偏見を受けやすく、正しく理解していない医師もいるのが現状。山村部長は、新型コロナの後遺症に悩む患者や家族が症状などからME/CFSの可能性を感じたら、「共感し、診療してくれる医師を探すべき」と強調した。

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