生徒飛び降り、静岡県に賠償命令 教員叱責「指導逸脱」地裁判断

 静岡県中部の県立高校に通っていた2016年に校舎3階から飛び降りて重傷を負ったのは、男性教員による執拗(しつよう)な叱責(しっせき)で急性ストレス反応が起きたのが原因として、当時2年生だった県中部の女性(22)が県などに550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は26日、教員の行為は教育的指導の範囲を逸脱していて国家賠償法上違法と判断し、県に220万円の支払いを命じた。
 判決によると、女性は他の生徒と研究班を組み、男性教員が指導担当だった。女性は16年10月1日、私用と重なったため3日夕方からの研修を欠席したいと男性教員に伝えたところ、1日から2日未明に掛けて無料通信アプリLINE(ライン)に「非常識」などと書き込まれ、携帯電話で50分以上指導された。3日は校内の一室に呼び出され、叱責された。教室に戻った直後、窓から飛び降り花壇に落下した。両手首を骨折して1カ月ほど入院した。
 菊池絵理裁判長は判決理由で、女性が何度も謝罪した上で2日午前0時50分の段階で、私用を中止すると伝えていたと指摘。その後は指導の必要性や相当性がほとんどなかったのに、男性教員がライン上で叱責を続けたり、執拗に電話したりしたとして「女性を精神的に追い詰めた」と認めた。
 一方、校長が男性教員を異動させず、女性が教員と顔を合わせなくてすむようにする職務上の義務を怠ったとの原告側の主張については、退院後の受け入れ計画を策定して「接触機会をできる限り減らす方策を講じていた」として退けた。
 県教委は「判決内容を精査し、控訴するかどうかを検討したい」としている。男性教員は現在もこの県立高に在籍しているという。

 ■両親 「パワハラの自覚を」
 「パワハラだという意識を持ってほしい」―。教員からの執拗な叱責を受けて県立高校の校舎から飛び降り、負傷した女性の両親が26日、県に賠償を命じた静岡地裁判決を受け、涙をぬぐいながら思いを語った。
 当時2年生だった娘の飛び降り事故が起きたのは6年前。学校の説明も調査も不十分で、母親は「もみ消されると思った」と振り返る。卒業後の2019年、娘は本件訴訟を起こした。
 男性教員による真夜中のライン上での叱責や、執拗かつ長時間の電話。県側は「教育的指導の範囲内」と訴えていたが、地裁判決は「逸脱していると言わざるを得ない」と結論付けた。
 娘は「(たとえ裁判で)勝っても貴重な6年間は戻らない。すっきりしない」と話していたという。両親は「泣き寝入りする人は多いと聞く。今回の判決が、同じような(つらい)思いをする子が1人でも減る力になればいい」と願った。

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