オペラ復活、市民が総力 2024年、浜松市で9年ぶり上演へ
浜松市民による総合舞台芸術「市民オペラ」が2024年、アクトシティ浜松(中区)の開館30周年に合わせて9年ぶりに上演される。8回目の今回は出演だけでなく、市内音楽関係団体が中心となって運営、制作、協賛金集めを担い、これまで以上に市民主体を前面に出した公演を目指す。

浜松の音楽文化の発展、次世代を担う人材育成も見据え、機運醸成を図る。演目はアクトシティの開館イベントにも携わった横浜市の作家荒井間佐登さんによる創作オペラを予定。作曲は浜松市の作曲家鳥山妙子さんが担う。浜松シティオペラ協会、浜松交響楽団、浜松オペラ合唱団などが中心となって近く実行委を立ち上げ、公演に向けて本格的なスタートを切る。
1991年の初回から携わる同協会の玉川昌幸会長(70)は「市民オペラは浜松音楽文化の全てが詰まっている。市民の力を結集したい」と強調する。同交響楽団の岡部比呂男理事長(70)も「市民主体だからこそ音楽文化が盛り上がり定着する」と期待を寄せる。
これまでにも市に頼り切らずに運営したことはあったが、予算面を含めて限界があり、思うように開催することができなかった。市の協力は受けるものの、今回は初めて、企業や市民から協賛金を募り、全市を巻き込んだ「真の市民オペラ」へと発展させる。人材育成のために、市民向けのセミナーやワークショップなども計画する。
アクトシティが開館した1994年以降、国際的な音楽コンクールやプロ奏者のコンサートなどが頻繁に行われてきた。玉川会長は「地元舞台スタッフが育ち、音楽文化を支える基盤もできてきた。地域文化活動は継続が重要で、音楽文化を真に根付かせるためにも市民オペラを次世代にしっかりと引き継ぎたい」と語った。
<メモ>市民オペラ 浜松市が音楽のまちづくり事業の一環として企画し、1991年の市制80周年を記念して初上演された。ゲストソリストを除き、オーケストラや合唱などの出演者は全て市民が担う。これまでに「カルメン」「椿姫」「魔笛」をはじめ、浜松にちなんだ創作オペラ「三郎信康」などを上演している。前回の2015年は「ブラックジャック」だった。