静岡人インタビュー「この人」 太田喜久子さん「富用品市ピタゴラス浜北」をオープン
英語講師などの仕事をしながら、住民が不要になった品を持ち寄ったり持ち帰ったりできる施設の運営を、自宅の敷地で4月に始めた。浜松市中区にある同様の施設や、長年暮らした英国で普及している「チャリティーショップ」にヒントを得た。利用料は100円から。持続可能な開発目標(SDGs)の「つくる責任、つかう責任」への理解を地域に根付かせようと励んでいる。58歳。

―ピタゴラス浜北の評判は。
「好意的な反応が多く、うれしく思っている。環境にいいことをしているねと褒められたり、励ましの手紙をもらったりする。利用するのは年配者が多く、乳幼児の衣類などを持ち込むかと想像していた子育て層は、いまのところ多くない。よく持ち込まれるのは食器や洋服、ヒーターや扇風機などの小型家電といった物だ」
―家族の理解はどうか。
「夫はドイツ出身で、欧州はリサイクルへの取り組みが進んでいることもあって、私の活動を応援してくれる。小学生の娘も宝探しをしているみたいだと言い、気に入っているようだ」
―ピタゴラス浜北を始めた理由は。
「大学卒業後の約20年、航空会社社員として英国で過ごし、家庭で不要になった品を融通し合うチャリティーショップに親しんだ。数年前に帰国するとこうした店が見当たらず、知人に教えられて浜松市中区のピタゴラス富塚に通うようになり、自分でもやってみようと思った」
―今後の目標は。
「日本には100円均一の店で売っているような安くて便利な物があふれている。いらなくなったらすぐ捨てるのではなく、利用し続けることを多くの人に考えてもらいたい」
(浜北支局・松浦直希)