自主防運営「女性の意見反映」5割 静岡県調査、体制づくり課題も

 静岡県は17日までに、自主防災組織(自主防)の活動や避難所運営に男女共同参画の視点が反映されているかについての設問を盛り込んだ自主防の実態調査の結果を公表した。52・3%が「女性の意見が反映される体制になっている」と回答した。東日本大震災や熊本地震以降、災害対応に女性の視点を取り入れる必要性が高まっている。

自主防災組織運営における女性の意見の反映
自主防災組織運営における女性の意見の反映

 2018年に改訂した県の避難所運営マニュアルでは、男女が協力して運営できる体制になるよう配慮することを求めている。これまでにも女性役員数は調べてきたが、各組織の認識や活動の現状を把握するために詳細な調査を実施した。
 調査結果によると、女性の意見の反映方法について「女性が役員に就いている」が29・7%と最も多かった。「役員が組織内の女性から積極的に意見を聴取し、物事を決めている」が19・7%、「組織の規約などで男女共同参画を規定している」は5・7%と続いた。
 女性の意見を反映した具体例は「役割を性別で決めるのではなく、男女両方で行うことになっている」が21・3%、「仮設トイレを男女別に設置することになっている」が18・2%など。女性の意見が反映された体制ではないと答えた自主防のうち、43・2%は「必要はあると思っているが、体制づくりができていない」と回答した。
 杉山隆通危機報道官は「100%に近づけたい。女性の視点のみならず、要配慮者や外国人らさまざまな立場の人を尊重した地域防災組織づくりを進める必要がある」と述べた。
 調査は01年度から4、5年に1回実施。今回は2~3月にかけて5161組織を対象に初めてインターネットで行った。回答率は34・6%だった。

 ■「対等な担い手」意識を 静岡大・池田教授
 防災における男女共同参画の現状や県の自主防災組織(自主防)実態調査の評価を、「減災と男女共同参画研修推進センター」(東京)の共同代表を務める静岡大の池田恵子教授(社会地理学)に聞いた。
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 東日本大震災後、防災における女性の参画は浸透してきているが、十分とはいえない。今回、県が自主防の調査で男女共同参画の項目を設けたこと自体、評価できる。「女性の意見が反映される体制になっている」が52・3%だったのは一定の評価ができるが、さらに増えてほしい。体制づくりができていないとの回答も目立ったので、どう体制づくりを支援するかが行政の腕の見せどころになる。
 一方、「女性の意見が反映されているか」という質問は、女性が配慮されるべき対象との印象を与える。男女共同参画は本来、対等な担い手として尊重し合い、責任を分かち合うこと。「男女が共に担う体制になっているか」といった設問の方が、より実態の把握につながるのはないか。
 

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