作家・宇佐見りんさん、沼津に 思い出の書店訪問、閉店惜しむ
沼津市出身の芥川賞作家宇佐見りんさんが14日、受賞後第1作の「くるまの娘」(河出書房新社)発刊に合わせて地元の書店に“凱旋(がいせん)”した。幼少期に行きつけだった同市のマルサン書店仲見世店にも、5月31日の閉店を前に立ち寄り、自著にサインした。
母方の実家が同市にある縁から、小学生のころは狩野川花火大会の帰りに祖母と立ち寄るのが恒例だったという。「話題書や児童書コーナーで新たな分野の本に出合うのが好きだった。心の柔らかい部分を預けている、思い入れのある書店」と振り返った。
同店は芥川賞受賞以降、関連本コーナーを入り口付近に展開している。受賞後初めて訪れた宇佐見さんは「昔から来ていた書店でこんなに大きく展開していただけるなんてうれしい。閉店の知らせも突然だったのでさみしい」と惜しんだ。増田淳店長は「新刊もすごく面白かった。宇佐見さんなど地元づくしのコーナーを展開し、営業を終えたい」と話した。
宇佐見さんは同市立図書館も訪れて新刊本を寄贈し、奥村篤教育長と尾和富美代館長が受け取った。奥村教育長は「宇佐見さんの作品は子供たちにも人気」と謝意を表した。