浜岡原発再稼働、容認ゼロ 周辺11市町首長アンケート

 中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)が政府要請で全炉停止してから14日で11年が経過するのに合わせ、静岡新聞社は浜岡原発から半径31キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)内に位置する11市町の首長を対象にアンケートを行った。浜岡原発が原子力規制委員会の審査に「合格」した場合、再稼働を容認すると回答した首長は今年もいなかった。

浜岡原発が新規制基準を満たしたと判断されたら、首長として再稼働はしてもよいと考えるか
浜岡原発が新規制基準を満たしたと判断されたら、首長として再稼働はしてもよいと考えるか

 脱炭素社会実現の必要性や世界的なエネルギー価格の高騰を背景に原子力利用を求める声もある中で、UPZ内の各首長が地元の原発には依然、厳しい見方を保っていることが浮き彫りになった。
 アンケートは4月に実施し、全首長から回答を得た。規制委の審査で新規制基準を満たした場合、首長として再稼働してもよいと考えるか尋ねたところ、島田、磐田、藤枝の3市が「いいえ」と回答した。他の首長は賛否を明言しなかったが、「広域避難の実効性や使用済み核燃料の処理などの課題がある」(菊川市)、「想定される震源域の真上にあり、安全性に疑問を感じる」(吉田町)など慎重な考えを示した。
 脱炭素社会の実現に向けた原子力エネルギーの位置付けを問うと、立地市の御前崎市のみ「実現に欠かせない」と回答。他の首長はエネルギー政策が国策であることなどを理由に言及を避けたが、「将来的には原子力に頼らない電源手段を確立し、積極的に再生可能エネルギーに転換すべき」(袋井市)、「温室効果ガス2050年実質ゼロを達成するために原子力発電はある程度必要」(森町)など一部で見解が分かれた。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞