盛り土前所有者の防災工事「ひどい」 措置命令見送りに疑問 熱海土石流百条委

 「どう見ても安全が確保されたとは言えない」-。熱海市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土について、市が2011年に土地の前所有者に対して防災工事の実施を求める措置命令を発出しなかった問題。11日の市議会調査特別委員会(百条委員会)では、市が判断の根拠とした前所有者側の防災工事の内容に疑問を呈する声が上がった。

防災工事の施工者が市に提出した沈砂池の写真(熱海市公表資料より)
防災工事の施工者が市に提出した沈砂池の写真(熱海市公表資料より)
防災工事の施工者が市に提出した水路の写真(熱海市公表資料より)
防災工事の施工者が市に提出した水路の写真(熱海市公表資料より)
防災工事の施工者が市に提出した沈砂池の写真(熱海市公表資料より)
防災工事の施工者が市に提出した水路の写真(熱海市公表資料より)

 百条委に参考人として出席した退職者を含む市職員らは一様に、措置命令の発出を見送った理由について、前所有者側が盛り土の防災工事に着手し、一定の安定性が確保されたと説明。当時の判断は「間違っていなかった」と述べた。
 しかし、同年8月に防災工事の施工者が市に提出した工事写真では、パワーショベルで掘っただけとみられる沈砂池や、土の溝に丸太を組んだ水路などが「完了」として示されていた。配水管も申請図面では盛り土の最下部に設置するとされていたが、写真では盛り土の表面に設置されていた。
 市の元幹部は「台風シーズンを見据えた防災工事だった」と明かした。この工事で安定性が確保されたとする判断は、市長を含む庁内の合議によるものではなく「担当職員と自分が判断した」と発言した。
 これに対し、百条委の稲村千尋委員長は「どう見てもひどい施工で、安定性が担保されたとは到底思えない。計画された盛り土の高さの15メートルを大幅に上回ったままの状態なのに、命令を見送ったのは非常に残念だ」と市の対応の不備に不満を漏らした。

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