ネコ歩き、思い出語る 動物写真家岩合さん、三島・佐野美術館で
世界各地でネコを撮り続ける動物写真家岩合光昭さん(71)の写真展「世界ネコ歩き2」(佐野美術館、静岡新聞社・静岡放送など主催)を開催中の同美術館(三島市中田町)で3日、ギャラリートークが開かれ、岩合さんが各地で出合ったネコのエピソードを紹介した。
リオデジャネイロで暮らす茶トラ猫のシキーニョは「砂浜の王様」と呼ばれ、主人のバイクに乗ってビーチに毎日やってくる。撮影にも緊張せず、あおむけになって横になる余裕さが印象的という。ニューヨークの白猫ホワイトスライスはピザ屋の“看板猫”。店先のイーゼルに跳び乗り、人々に愛嬌(あいきょう)を振りまいている。
「砂漠とネコ」を撮ろうと訪れたのはアラブ首長国連邦。砂丘に足跡を残すには霧の湿り気が必要で、撮影まで3日間待った。三毛猫のミンナークは名前を呼ばれたらまっすぐに歩き出し、砂には点々とした足跡がくっきり。「主人との信頼関係があり、素直なネコだった」と振り返った。
■表情、しぐさに焦点 一問一答
ギャラリートークを終えた岩合さんが取材に応じ、ネコへの思いなどを語った。
―ネコの写真を上手に撮るポイントは。
「ネコの顔にこだわりすぎる人が多いが、全身から醸し出される雰囲気や表情、しぐさなど、全体に注目すれば写真の撮り方も変わってくる。ネコをリラックスさせ、普段通りの状態からシャッターチャンスを見いだしてほしい」
―ネコの魅力は。
「ネコの大きさは世界中どこに行ってもほとんど変わらない。自然に生まれたままの野生の姿が残されているからこそ、家の中でも動きに躍動感がある。その驚きの中で、人間が置き忘れてきた野生の感覚を呼び覚まさせてくれる」
―写真展をどう楽しんでほしいか。
「コロナでなかなか世界旅行は難しいと思う。ぜひ、ネコたちと共に世界中を旅してもらいたい。写真を見ると、僕自身も旅に行きたくなってしまう」