静岡市中心街誘客、リアルで攻勢 松坂屋など各商業施設が新常態へ戦略

 25年ぶりの大型改修を経て27日に新装開店した松坂屋静岡店(静岡市葵区)は、都市型水族館を構えるなど滞在型・体験型の店舗運営に大きくかじを切り、新型コロナウイルス禍で集客が鈍る市中心市街地に一定の衝撃を与えた。ウェブなどを通じた非接触の買い物が普及して消費行動が様変わりする中、中心街の各商業施設は客足を戻すためのリアル重視の戦略を練り、反転攻勢を図る。

多くの来店客が集まった都市型水族館=27日正午ごろ、静岡市葵区の松坂屋静岡店
多くの来店客が集まった都市型水族館=27日正午ごろ、静岡市葵区の松坂屋静岡店
松坂屋静岡店の落合功男店長
松坂屋静岡店の落合功男店長
多くの来店客が集まった都市型水族館=27日正午ごろ、静岡市葵区の松坂屋静岡店
松坂屋静岡店の落合功男店長

 「百貨店が顧客の『目的地』になっていない。ビジネスモデルを変え、風穴をあけたかった」。松坂屋静岡店の落合功男店長は、今回の大胆な戦略の背景に強い危機感があったと明かした。
 狙ったのは、モノを売るだけでなく体験とともに消費する「コト消費」の創出。落合店長は「何かを買うか食べるかだけに偏らず、滞在して楽しい空間を提供したい」と強調する。
 静岡伊勢丹は百貨店らしさを堅持しつつ、提案力に磨きを掛ける。今月、旗艦店新宿本店での勤務経験が豊富な秋野孝三氏が社長に就任した。衣料品売り場での3D身体計測の導入や、ウェブ限定の衣料品・雑貨ブランドの実店舗誘致を目指す。秋野社長は「豊かな生活を求める顧客は存在し続ける。上質な商品をそろえ、百貨店としての存在価値を高める」と説く。
 新静岡セノバを運営する静鉄プロパティマネジメントは来店客の行動分析などデータ解析に意欲を見せる。今後、フロアごとの人の流れや密集度の把握を進め「より効率的な店舗配置や密の解消につなげ、来店客の回遊性を向上させたい」(佐藤寿康常務)。
 静岡商工会議所が2021年11月に行った中心市街地の通行量調査によると、総通行量は前年比33・1%増の38万7千人と3年ぶりに増加したが、コロナ前の19年には及ばなかった。
 中心市街地活性化を目指す「I Love しずおか協議会」の沼田千晴会長は「大型店の新たな取り組みは中心街に多くの人流を生む効果がある。周辺の個店にも足を運んでもらい、静岡の“おまち”のにぎわいにつながれば」と期待する。

 ■百貨店、滞在楽しめる空間に 
 松坂屋静岡店の落合功男店長の主な一問一答は次の通り。
 -館内に滞在型エリアを新設した理由は。
 「百貨店の従来業態では消費者のニーズを捉えきれなくなり、既存の店で広いフロアを満たすのが難しくなった。多様な商材、コンテンツが集まる大都市と異なり、地方百貨店は生き残りに向けてビジネスモデルを変えなければと考えた」
 -顧客にどんな価値を提供するか。
 「家族や友人と共に滞在すること自体を楽しむ時間を提供したい。JR静岡駅周辺には大型商業施設が多く集まるが、全てが小売り中心で、買う、食べる以外の選択肢が少ないことが弱点」
 -松坂屋が中心市街地で果たす役割は。
 「課題はあるが、駅前という場所は地方都市ではまだ存在感がある。県内でさまざまな取り組みに挑戦する企業や人をつなぎ、静岡の価値を高められる拠点へと発展していきたい」

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