過去にこだわらず 再就職は視野を広げて 静岡市シニア就労支援窓口マネージャー/一ノ宮由美氏【本音インタビュー】

 少子高齢化が進み、働く意欲のある高齢者の就業機会の確保が課題になっている。静岡市のシニア向け就労支援窓口「ネクストワークしずおか」は開設から3年。生涯現役を掲げる厚生労働省のモデル事業に取り組んだ経験も踏まえ、高齢者雇用の実情や今後の展望について聞いた。

 ―支援窓口の状況は。
 「高齢者は久々の就職活動に抵抗感があったり『受け入れてもらえるか』と不安に思ったりする。窓口を訪れる一人一人の状況を聞き、ハローワークやシルバー人材センター、行政の生活支援など、その人に合った支援先を案内している。この3年間の相談件数は延べ3500件を超えて目標を上回り、約500人の就職につながった」
 ―高齢者の就労環境は。
 「60歳定年、65歳まで再雇用の企業が標準的だが、70歳過ぎまで働き続けたい人は多い。年金受給額が低く、経済的な必要性に迫られて働きたいという人もいる。3年前、老後資金に2千万円が必要だと騒がれた際は多くの人が相談に訪れた。介護・福祉施設の庶務や警備、ビル管理、マンション管理、清掃業なら比較的、仕事を見つけやすい」
 ―再就職を希望する高齢者に必要なのは。
 「相談に訪れる人から『何も資格を持っていない』とよく言われるが、一番求められるのはコミュニケーション能力。部長などの役職でこれまでの会社を辞めた人の中には、再就職先で偉そうな態度を取って摩擦を生んでしまう事例もある。視野を広げて、仕事を選ばず、過去にこだわらないのがポイントになる。定年前から将来の生活設計を考えておくことも大事で、NPO活動やボランティアなどをしている人ほど人脈が広がり、再就職しやすいというデータもある。40、50代のうちから、家庭と仕事以外での社会参加を心掛けてほしい」
 ―企業側に求めることは。
 「法改正に伴い、70歳までの就業機会の確保が昨年4月以降、努力義務になったが、企業の動きはまだ鈍い。ただ、人手不足がこれから深刻になるので、企業は外国人や高齢者を雇うのか、機械を入れるのか選択を迫られるだろう。雑務のような仕事を切り分けて高齢者を雇ってはどうかと企業を回って提案している。人件費を抑えられる利点もある」

 いちのみや・ゆみ 北海道奥尻島出身。リクルートに13年間勤務し、結婚を機に静岡市に移り住んだ。2019年から現職。

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