ウクライナの母娘、ドイツへ避難 浜松の友、受け入れ先確保

 浜松市で昨年9月まで生活し、母国ウクライナに帰国した女性研究者カテリーナ・ゼレンスカさん(33)と娘のリンダちゃん(5)がこのほど、友人で英会話教室経営の影山美恵子さん=同市北区=の協力も受け、戦禍の首都キーウからドイツへ避難した。カテリーナさんから影山さんに届くメールには、無事を喜ぶ一方で母国を案じる複雑な心境がうかがえる。

アソカ学園城北幼稚園在籍時のリンダちゃん(2021年、同園提供)
アソカ学園城北幼稚園在籍時のリンダちゃん(2021年、同園提供)
カテリーナさんから届いたリンダちゃんの動画を確認する影山美恵子さん=18日、浜松市北区
カテリーナさんから届いたリンダちゃんの動画を確認する影山美恵子さん=18日、浜松市北区
アソカ学園城北幼稚園在籍時のリンダちゃん(2021年、同園提供)
カテリーナさんから届いたリンダちゃんの動画を確認する影山美恵子さん=18日、浜松市北区

 影山さんは「ポーランド市民交流友の会」の会長として、文化・芸術を通じた浜松と東欧の親善活動を20年以上続けている。6年ほど前に市内の大学の研究員として来日したカテリーナさんとは家族ぐるみの仲で、任期を終えて親子で地元キーウへ戻った後も連絡を取り合ってきた。
 2月のロシア侵攻開始直後、カテリーナさんは砲弾が迫る様子を訴えながらも、総動員令で出国できない弟らと別れて避難することを迷っていたという。
 影山さんは隣国ポーランドの友人に声をかけて受け入れ先を確保し、何度も避難を勧めた。3月上旬に避難を決断したカテリーナさんはリンダちゃんと父、90代の祖母の4人でウクライナ西部のリビウへ逃れ、ポーランド周辺の就職先を探した末、ドイツの大学に職を得て同国へ移った。
 カテリーナさんは避難の途中、すし詰め状態の電車で床にうずくまるリンダちゃんの写真や、キーウに残した母と弟への思いなどをメールで発信し、母国を離れるつらさを訴えていた。影山さんは「ウクライナの人々は愛国心が強い。無事に避難できて良かったけれど、彼女も苦悩や不安を抱えているはず」と胸の内を思いやる。
 リンダちゃんが昨夏まで通った浜松市中区のアソカ学園城北幼稚園にも今月、影山さんを通じて近況を伝える動画が届いた。運営法人の朝元百理事長は「みんなで心配していたので、涙が出る思い。園の子どもたちにも無事を伝え、命の大切さを一緒に考えたい」と話した。
 

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