御前崎市観光協会 川口正洋会長 体験型観光で誘客促進【キーパーソン】
新型コロナウイルス禍で「密集」を避けるため地方の観光地が注目される中、御前崎市の景観や農水産物などを強みに観光客をどう取り込むか。構想を聞いた。

―コロナ禍による観光業への影響は。
「きわめて苦しい。民宿や旅館は料理の持ち帰りサービスをしたり、ラーメンを始めたりと本業ではない分野で努力しているが、宿泊の予約はなかなか入らない。市内への宿泊客に宿泊料金の割引と買い物に使える地域クーポンを提供するキャンペーンは一時停止していたが、3月下旬に再開した。利用拡大に期待したい」
―打撃を受けた観光業を立て直す鍵は。
「マリンスポーツや農業などを楽しめる体験型観光を育てることだ。コロナ禍では地域独特の文化や暮らしをじっくり楽しむ観光のスタイルが求められている。昨年11月から今年1月に行った、謎解きをしながら市内の名所を巡るイベントは県内外から約900人が参加した。参加者へのアンケートでは海が見える景色や魚介類などの特産物を高く評価する声があり、地元の魅力を再認識できた」
―具体的に力を入れていきたいことは。
「協会として新しく大きな事業を打つのは難しいが、地元では商工会や『御前崎渚の交番』など各種団体が積極的に活動し、一般的に知られていないイベントも多い。協力してSNSなどを駆使して情報発信に注力し、『御前崎に行くと何かやっている』と思われるようになれば」
かわぐち・まさひろ 2021年6月から現職。御前崎市商工会副会長も務める。産業機械製造「川口興産」社長。64歳。