不登校乗り越え御城印デザイン 菊川の沢島さん「地域の役に立てて、うれしい」

 菊川市東横地の国指定史跡「横地城跡」の御城印が3月に完成した。イラストを描いたのは同市の沢島由実さん(21)。菊川南陵高(休校中、同市河東)の校舎内にあり、不登校経験のある生徒らを対象にした和歌山南陵高通信制課程通学型静岡キャンパス「りん」に沢島さんが通っていたことが、制作に携わるきっかけとなった。

鈴木主事に御城印の絵を披露する沢島さん(左)=菊川市河東
鈴木主事に御城印の絵を披露する沢島さん(左)=菊川市河東


 沢島さんはイラストがうまく、りんに在学中、掲示物や卒業アルバムに添える絵を担当してきた。りんの元非常勤講師で横地城跡文化財保存会の福井淳一さん(74)が沢島さんの絵に才能を感じ、デザインを依頼した。
 描いたのは弓の名手として名をはせた横地城主。馬に乗って弓を引く勇ましい姿を筆ペンと鉛筆で表現した。御城印の売り上げは横地城跡の公園の維持管理費になるという。沢島さんは「自分の携わったことが少しでも地域の役に立つならうれしい」と話した。
 沢島さんは小学4年の途中から中学3年まで学校に行くことができなかった。りんには5年間通い、昨年卒業した。「寄り添ってくれる先生ばかりで、勉強も自分の進度に合わせてくれた」と感謝する。そばで見守ってきた鈴木万里子主事(72)は「御城印の絵を描いたことは彼女にとってすごく自信になったはず。たくさんの可能性があるから、自分に自信を持って進んでほしい」と語った。沢島さんはイラストに加え、刺しゅうなども得意。今後も創作活動を続けるという。
 御城印は菊川市観光協会で、平日のみ販売している。税込み300円。同協会によると売れ行きは好調。東横地地区は横地姓の発祥の地とされているため、全国から問い合わせがあるという。

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