有機抹茶 海外へ照準 問屋とタッグ、生産強化 KAWANE抹茶

 鮮やかな緑色とこくのある渋味が特徴の県産有機抹茶の原料を作る、茶工場の挑戦が本格化している。KAWANE抹茶(島田市川根町家山)は、碾茶(てんちゃ)生産に向けて態勢を強化し、製茶問屋と連携して海外に輸出する。

れんが造りの碾茶加工設備を眺める大橋一輝社長。静岡オーガニック抹茶の工場で抹茶に仕上げ、世界中に輸出している=4月中旬、島田市川根町家山
れんが造りの碾茶加工設備を眺める大橋一輝社長。静岡オーガニック抹茶の工場で抹茶に仕上げ、世界中に輸出している=4月中旬、島田市川根町家山
生産する碾茶
生産する碾茶
最終製品の抹茶
最終製品の抹茶
れんが造りの碾茶加工設備を眺める大橋一輝社長。静岡オーガニック抹茶の工場で抹茶に仕上げ、世界中に輸出している=4月中旬、島田市川根町家山
生産する碾茶
最終製品の抹茶

 大橋哲雄取締役(73)は20年前、有機栽培で煎茶作りを始めた。高付加価値のお茶の引き合いに手応えを感じるのに併せ、健康需要などを背景に世界的に抹茶需要が高まってきた。「抹茶なら菓子や料理など使い道が多岐にわたる」と見込み、茶畑を碾茶栽培向けに転換し始めた。
 自前の園地を改良するだけでなく、契約農家に資材を貸し出したり、専用肥料を供給したりして転換を促す仕組みを構築。碾茶を始めた2015年ごろの栽培面積は20ヘクタールだったが、現在約50ヘクタールまで広がった。れんが造りの加工設備など量産態勢も整えた。
 日本の緑茶輸出は、21年実績で前年比17・1%増の6178トンを記録し、好調を維持している。なかでも欧州などは、有機抹茶の引き合いが強い。
 同社は需要に対応し、抹茶の最終製品作りにも挑む。県内の問屋2社らと川根本町に「静岡オーガニック抹茶(SOMA)」を立ち上げ、輸出向けの抹茶工場を20年9月に稼働させた。売り手と一体になることで海外のニーズに合致した製品作りに注力できる。
 碾茶生産は4月末に本格化する。大橋一輝社長(42)は「川根抹茶のブランド化に向けた試行錯誤はきっと報われる」と展望。今年、碾茶加工設備はフル稼働するという。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞