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社説(4月16日)パートナー制度 安心生活の環境整備を

 性的少数者(LGBTQ)や事実婚カップルの関係を公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入する自治体が全国で増えている。
 静岡県内でも浜松市と富士市に続き、4月から静岡市と湖西市でも始まった。県も本年度内の導入を目指して制度設計を進めている。性的少数者などの権利を保障し、安心して生活できるための環境整備として、行政サービスの充実などに努めてほしい。
 制度は法的に結婚が認められない同性カップルなどの権利を、自治体が補完する目的がある。内容はそれぞれ異なるが、利用者は公営住宅入居が可能になったり、病院でパートナーが病状説明を受けられたりするようになる。
 カップルの子どもを含めて家族関係を認める「ファミリーシップ」の規定を盛り込むケースもあり、静岡市と湖西市はこれに該当、県も同様の方針だ。
 県制度は県の男女共同参画基本計画の一環。多様性への理解促進は、誰もが自分らしく生きやすい社会実現につながる。先行事例なども参考にし、当事者の声を反映させた制度にしたい。市町制度との関係や市町との連携なども詰める必要がある。
 共同通信の調査によると、今年1月時点で同制度を導入しているのは全国の146自治体。うち3割超の48市町が、転居時の再申請などの負担を減らす連携協定を他の導入自治体と結んでいる。
 制度は自治体ごとの導入のため、転居時にパートナーシップが解消されたり、転出先での利用申請で再度職員にカミングアウトをしたりすることが心理的負担にもなると指摘される。連携協定はこうした課題に対応する一方、自治体間で制度内容などが異なることで協定が結べなかった事例もあった。
 県内で制度導入に至っていない市町もある中、全体をカバーする制度の意味は大きい。だが、県の制度で市町営住宅への入居が可能になるかなどは、連携次第といえる。県と市町は十分に協議を重ねてほしい。
 島田市は県の制度導入を見据え、ジェンダー平等や多様な性のあり方に関する理解、啓発を担う専門職員「多様性に関する意識啓発アドバイザー」を募集する。制度の導入や普及には市民の理解が欠かせない。自治体は啓発や相談業務などの充実に向け、体制を整備するべきだ。
 民間の取り組みとして、住宅ローンの連帯債務者などとなる配偶者の定義に同性パートナーを加える県内金融機関も出てきた。企業にも積極的な対応を期待したい。

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