藤枝市のプログラミング教育 専門知識持つ教員不足、好奇心刺激する指導を【解説・主張しずおか】

 全国に先駆けて市内の全小中学校にソフトバンクロボティクスの人型ロボット「ペッパー」を配備し、プログラミング教育に活用している藤枝市。同社主催のプログラミングコンテスト全国大会で多くの藤枝市チームが入賞するなど、成果が表れている。一方、学校間での温度差や専門知識を持った教員の不足など、取り組みを発展させていく上での課題も出ている。

プログラミング学習の一環で、ペッパーの動作を確認する児童=1月、藤枝市の岡部小
プログラミング学習の一環で、ペッパーの動作を確認する児童=1月、藤枝市の岡部小

 「好奇心を刺激するようにしている」。葉梨中のプログラミング教育を主導する技術科教諭の秋山友徳さん(46)は、指導する上での心掛けを語った。理系科目が苦手な生徒らが“食わず嫌い”にならないようにするため、まずは興味を引き出すことが大切という。
 同校では2年時の授業10コマを割り当て、前半で基礎指導、後半で成果発表に向けたフィールドワークなどを展開している。これまでは防災や商店街活性化をテーマに、ペッパーを使った地域課題の解決を考えた。秋山さんは「プログラミングは遠い場所にあると思われがち。実生活とリンクさせることで子どもの反応が良くなる」と手応えを持つ。
 市は2016年にソフトバンクと包括連携協定を結び、17年度に全小中学校にペッパーを配備した。ペッパーは、簡易化された言語を組み合わせることで言葉を発したり、タブレット画面の表示を切り替えたりすることができ、プログラミングの基礎を学ぶのに有効とされる。
 一方で関係者によると、学校現場にプログラミングの専門知識を持つ人材は少ない。特に小学校では、ペッパーを効果的に活用できていない事例も見受けられるという。子どもは柔軟な発想を持つため、驚異的なペースで成長するケースも想定される。指導する側の大人にも、付け焼き刃ではない知識や技術が求められる。
 21年度に市内全ての小中学生に1人1台の端末が配布され、家庭でも自主的に学べるようになった。同市では静岡産業大と連携したプログラミング講座を展開する。強い関心を示した子どもが学びを継続できるよう、学校外に多くの受け皿があるのが理想だ。学校現場にも、専門知識を持つ外部人材を派遣する手が考えられる。
 同市はまちづくりに情報通信技術(ICT)を取り入れたスマートシティーを目指している。プログラミング教育の分野も先進的に推し進め、全国のモデルケースになるような取り組みに発展させてほしい。

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