静岡県内の「路地裏」撮影 ハンブルク映画祭賞候補に アート作品に物語性

 静岡県内各地の映像を編集した短編映画「路地裏探訪the movie」が、6月にドイツで開かれる第23回ハンブルク日本映画祭の受賞作品にノミネートされた。三島市を拠点に活動する現代芸術家アレッサンドロ・ヨッシーニさん(57)=本名・吉野昌彦、静岡市出身=が監督を務め、アート映画にストーリー性の要素を加えた作品に仕上げた。

作品を紹介するアレッサンドロ・ヨッシーニ監督=三島市
作品を紹介するアレッサンドロ・ヨッシーニ監督=三島市

 ヨッシーニ監督が高校生の頃に撮影した8ミリフィルムの映像や、10年前からケーブルテレビの番組で撮りためた路地裏の様子などをまとめた約40分の短編作品。ビルの間やどぶ川の脇道など普通は足を踏み入れない路地裏を訪れ、コンクリートの汚れやゴミの散らかり方など「偶然のアート」に焦点を当てた。静岡市や御前崎市など県内各地も撮影し、さまざまな映像を組み合わせた。
 本来のアート映画はイメージ中心の映像を展開するが、今作はアニメ演出家の畠山茂樹さん(裾野市出身)の協力でストーリー性を演出。最後は世界にはびこる悪に立ち向かうシナリオを設定し、「漠然とした風景ではなく、見る人が楽しめる作品に仕上げた」。せりふは全て字幕で示し、音楽と映像で物語の流れを表現している。
 ヨッシーニ監督は「ドイツの人に見てもらえるのがうれしい。自由な感性で楽しんでもらえたら」と本番を心待ちにする。

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