富士川水系の汚泥投棄問題 山梨県、水質調査打ち切り 静岡県と国は継続意向【サクラエビ異変 母なる富士川】

 富士川水系の雨畑川(山梨県)に高分子凝集剤入り汚泥が長年不法投棄された問題で山梨県は8日までに、静岡、山梨両県と国土交通省の3者が分担して実施する凝集剤由来の劇物アクリルアミドモノマー(AAM)の拡散実態調査を打ち切る方針を決めた。全調査地点のうち山梨県が担当した水質6地点、底質4地点で凝集剤由来劇物が検出されなかったためとしている。

富士川水系の水質調査結果
富士川水系の水質調査結果
富士川水系の水質調査地点
富士川水系の水質調査地点
富士川水系の水質調査結果
富士川水系の水質調査地点

 調査は昨夏から計3回実施した。山梨県が調査した全地点でいずれも未検出だった一方、今年1月の調査で静岡県は富士川下流など4カ所で過去最高濃度を検出し、国交省も雨畑川が流れ込む早川と富士川の合流地点など2カ所で検出した。
 山梨県大気水質保全課は静岡県と国交省の検出データを「全国の河川と比べても特別高い値が出ているわけではなく、人体や水生生物への影響はない」とした。根拠は環境省の全国調査「2007年度化学物質環境実態調査」によるという。
 ただ、環境省環境安全課によると、AAMが調査項目となったのは過去さかのぼっても同調査のみで、対象は水が滞留する港湾や湖沼などとなっている。
 静岡県生活環境課は「今回のような流水からの検出をどう評価したらいいのか比較対象がない。調査を積み上げるしかない」とした。本県と国交省は調査を継続する。
 調査日は昨年7月28日、10月27日、今年1月27日。水質で1リットル当たり3・5~41ナノグラムを計8地点で検出。底質では乾燥重量1グラム当たり0・2ナノグラムを2地点で検出した。

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