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特集 : 福祉・介護

大自在(4月8日)家族介護

 先天性筋強直性[きんきょうちょくせい]ジストロフィーで全介助状態の息子隼さん(24)と認知症の母を一人で介護する静岡市清水区の渡辺裕之さん(58)を追った連載「障害者と生きる」の第3章と番外編がきょうまで本紙社会面に載った。
 裕之さんは同じ難病を発症した亡妻の介護もやり通した。取材しているのは隼さんと同い年の記者。隼さんと裕之さんを襲う不条理や不平等を1年前に勉強会の取材で知り、居ても立ってもいられずその場で裕之さんに取材を申し入れた。
 記者は章末で「裕之さんに壁を乗り越えてきたという思いはない」と書いた。それは、壁にぶち当たってもいつもほとんど解決策や逃げ場はなく、満身創痍[そうい]になるだけの家族介護者の本音だろう。
 当事者の苦労は24時間365日、延々と続く。壁を乗り越えられなくても世の中はお構いなしに動き続ける。悲鳴は時間の濁流にかき消され、当事者は次第に無口になる。
 救いは隼さんと裕之さんの周囲の心ある人々。医療福祉従事者をはじめ、支援学校の先生や保護者仲間…。コロナ禍の窮地も静岡市障害者協会などの人々の奮闘で隼さんの感染リスクを下げることができた。綱渡りの現状を政治はどう見ているのだろうか。
 各地で入学式や始業式が開かれ、子どもたちの新生活が始まった。県が小5~高3を対象に昨年度初めて実施した実態調査で「自分が世話(ケア)をしている家族がいる」と答えた児童生徒は4・6%に上る。「ヤングケアラー」の問題も含めて、家族介護の在り方そのものに抜本的な改革が必要なのは間違いない。

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