日軽金取水量報告 不自然記載、静岡県内発電所でも 2000~07年【サクラエビ異変 母なる富士川】

 富士川水系にある日本軽金属水力発電所の取水量報告に不自然記載があり国が今月中の調査を表明した問題で、県内の同社発電所でも取水量報告に同様の記載があることが5日までの静岡新聞社の取材で明らかになった。国土交通省は日軽金からこの発電所について提出された書類をさかのぼって確認している。

過去の取水量報告書に不自然な記載が見つかった静岡市清水区の日軽金富士川第二発電所(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
過去の取水量報告書に不自然な記載が見つかった静岡市清水区の日軽金富士川第二発電所(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
過去の取水量報告書に不自然な記載が見つかった静岡市清水区の日軽金富士川第二発電所(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
過去の取水量報告書に不自然な記載が見つかった静岡市清水区の日軽金富士川第二発電所(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
日軽金富士川第二発電所の取水の様子(簡略図)
日軽金富士川第二発電所の取水の様子(簡略図)
過去の取水量報告書に不自然な記載が見つかった静岡市清水区の日軽金富士川第二発電所(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
過去の取水量報告書に不自然な記載が見つかった静岡市清水区の日軽金富士川第二発電所(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
日軽金富士川第二発電所の取水の様子(簡略図)


 同社富士川第二発電所(静岡市清水区)の取水量報告書を専門家と分析し、2000年3月~07年4月の一部計70カ月間に不自然な記載が見つかった。日軽金が国交省に毎月報告している1日ごとの「平均取水量」の欄に許可上限ちょうどの「毎秒75・00立方メートル」が連日並んで記載されていた。00年10月と01年10、11月は全てが上限値だった。
 同発電所は富士川本流の十島せきと日軽金富士川第一発電所放水口(ともに山梨県)から取水、水は一度も川に返されることなく雨畑ダムを起点とする発電用タービン導水路で下流に送られる。利用後の水は同社蒲原製造所放水路からサクラエビの主産卵場がある駿河湾奥に注ぐ。放水路の水は漁師らから強い濁りが指摘されている。
 日軽金波木井発電所(山梨県)の取水量報告に技術的観点から信ぴょう性に疑問を呈す水源開発問題全国連絡会共同代表の遠藤保男氏は「富士川第二発電所でも許可量を超えた過剰取水が行われていた可能性がぬぐえない」と指摘。国交省水政課は「富士川第二発電所の記録を確認し対応を検討する」と述べた。

 日軽金波木井発電所の取水量報告書問題 山梨県の波木井発電所で、1987年2月以降の89カ月間に「平均取水量を連日許可上限いっぱいの毎秒30・00立方メートルちょうどに制御した」との趣旨の不自然記載が見つかった問題。記録の改ざんの可能性が指摘される一方、日軽金は07年3月に国が行った自主点検指示に、富士川水系の6発電所全てで改ざんの可能性を「該当なし」と回答している。

 

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